One good per day
むかし、むかしある所に普通の男が居た。
どのぐらい昔かといえば、江戸末期ぐらい。
まだみんなが農業を主にしていた頃。
男は、どんなのかって?
まぁ、見た目は普通。中肉中背。年の頃は……20代。
特徴といえば、よく食べる。3つ先の村の住人が知っているぐらい良く食べる。大食い選手権に出たら、日本一?いや、世界一になれるぐらい。
そんなに食べるのに中肉中背。ちょっと羨ましい感じの男だった。
その村には若い男手が無かった。だから、みんながその男に村の期待をかけていた。だから、男の家には食べ物がたくさん集まってきていた。
『若いんだから、食え』それがその村の合言葉のようなものだった。
みんなが食べさせるから、男は更にどんどん食べるようになる。
天候が良い年は、たくさん農作物が取れるから、男に沢山食べさせても問題が無い。問題は、天候の悪いの年だ。
そして、天候の悪い年がやってきた。
採れる農作物がいつもより少ない。でも、男は食べる。村の年寄りは、自分たちは我慢して男にいつもの様に食べ物を持っていっていた。
ドンドン痩せる年寄り。変わらない男。
ある日、ようやく男は気付いた。
村のみんながやせ細っているのを。
男は、ようやく申し訳なく思った。そして、どうすればいいのか考えた。
『みんながコレ以上痩せない為には……』
男は3日3晩寝ずに考えた。考えると糖を消費するのでお腹がいつもより空き、いつもより多く食べながら考えた。
そして、4日目の朝にようやく思いついた。
『自分の食べる量を減らせばいいんだ』
男は、それから1日1膳しか食べなくなった。
胃はみるみるうちに小さくなって、男は1日1膳でも満腹を感じるようになった。
男は、食事を1日1膳にする事により村の人を救ったのだ。




