楽しい職場
―――ジリリリリリリr………。
朝だ……。
けたたましい目覚ましの音が聞こえる。
ああ……うるさい……鬱陶しい……。
時刻は七時。
二度寝するわけにもいかず、身体を起こす。
「……ああー……めんどくさ……だるい……しんどい……。」
そんなことを口にしながら朝の支度を済ませ、職場に向かう。
「おはようございまーす。」
「おはようー。」
同僚の何人かが返事をくれる。
ああ、めんどくさ……働きたくないわー……。
そんなことを考えている時だった。
「――おはようございます!瀬濃さん!」
可愛らしい声でそんな挨拶が聞こえてくる。
眩しい笑顔だ。
俺は思わず嬉しくなる。
「――あ、ああ、おはよう。相野さん!」
精一杯元気に返したつもりだが、うまく返せただろうか?
「――今日も頑張りましょうね!」
「あ、ああ……そうだね……。頑張るか!」
仕方ない。
相野さんにそんな風にいわれたら……頑張るしかないじゃないか――!
――といっても、仕事内容はいつもと変わらず……。
午前中。
品出しをして、それが済んだらお客様対応やら接客やらレジ打ちだ。
休憩を挟んで……。
午後。
「――あの……瀬濃さん?」
相野さんに呼ばれる。
「ちょっと、聞いてもいいでしょうか?」
もちろんだ。
どんなことでも聞いてくれ。
俺は包み隠さず、すべて答えるさ。
「――ん?どうかした?」
「えっと……ここの在庫の数なんですけど……おかしくないですか……?」
「……いや、これはいいんだよ。そこにある在庫とは別に、倉庫にある在庫も数に計上されてるから、これであってるんだ。」
俺は答える。
「――あ、そういうことだったんですね!ありがとうございます!」
なんて嬉しいありがとうございますなんだろうか。
もうそれだけで、俺の今日一日はいい一日だったよ!
「おつかれさまでーす。」
そんな一日ではあったが、いつも通り仕事は終わり、いつも通り帰宅する。
今日も特別なことはなにもなかった……。
――いや、正直をいえばちょっとだけいいことはあったけれども……。
そんな浮かれた気持ちのまま、食事も風呂も済ませて眠りに就く。