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灰色の日常
―――ジリリリリリリr………。
けたたましい音が聞こえる。
「うるさい……。」
少しの間眠気と格闘したあと、重たい身体をどうにか起こす。
「ああ……しんどい……。」
起きたところでなにもいいことなどないが……仕方なく起き上がる。
ぼうっとした頭のまま、支度を済ませる。
まだ半分寝ているような状態だが……家を出る。
外気と日光のおかげで、少しずつ意識は覚醒していった――。
職場に着き、支度をし、仕事を始める。
相野さんは、相変わらずの様子だった。
こうなってくると……なにもない――。
なにもないのだ。
午前中の仕事を終え、休憩を取り、午後の仕事をする。
なんとなくでいつの間にか一日の仕事が終わる。
時間を潰したといってもいいくらいだろう。
帰宅し、特に美味くもない飯を食い、風呂で職場での汚れだけはしっかりと落とし、眠る。
本当になにもない一日だった。
いや、案外人間なんてものの日常は、こんなものなのかもしれない……。
そんなことを考えながら、眠りの底へと落ちていく――――。




