-プロローグ-
ー20XX年ーとある遊園地での怪奇事件が世間からの注目を浴びた。それは、お化け屋敷にて複数人の人達が何の脈絡も無く姿を消してしまったという事件だ。当時、そのお化け屋敷の管理を任されていたスタッフチームは警察に捜索願いを要請したが、たった一人を除いて他の被害者らが見つかる事は無かった。後にその一人を発見した5人の警官達は報告書を上層部へと提出した。それが以下の報告内容である。
[X月X日。とある遊園地で行方不明事件が発生した。話しによれば、被害者にあたる複数の家族ら並びに男女含めた数人の来客者はX時X分頃からX時X分頃にかけて、ここ『死者の博物館』に入場したとのことだ。しかし、いつまで経ってもゴールポイントにその姿を現さず、設置されてあった監視カメラにも映っていなかった事からスタッフらは緊急対応として現場で動く従業員に連絡を入れ、スタッフ数人が捜索として場内へ、残ったスタッフが警察に通報すると共に場内へ退室放送及び監視カメラでの捜索を続けたのだという。連絡を受けた我々は早速現場に向かい到着後、現在の状況報告を受け取った。時間は昼間のX時X分。どうやら先に捜索へ向かった数人のスタッフらからの応答が無くなった事で現場は軽い騒ぎになっている模様であった。X時X分、我々ついに事件現場へと足を踏み入れ探索作業に取り掛かった。それからX時間後。303号室と書かれた室内にて、ついに一人の少女を発見した。周囲に他の行方不明者は見られない。我々はその少女に声を掛けてみたが応答が無く、ひどく怯えている様であった。我々は何度もコミュニケーションを試みた。だが、やはり反応する事は無かった。顔をうつむかせ体操座りをする少女は助けに来た我々に見向きもしなかったのである。X時X分。取り敢えず我々はこの少女を保護しようとその腕を掴み起こそうとした。次の瞬間、その腕を掴んだ松山巡査に少女が激しい抵抗を露にした。初めは恐怖心からくるパニック症かと思われたが、それは違うと直ぐに察した。何故なら、少女と思われたこの人物は立ち上がると我々の身長を越える体格となり、猛獣のような、否、まるで人を喰らう怪物の如き姿を露にしたのだ。そこからの記憶は無い。気づけば我々は怪物の姿を失い、全員意識を無くしていた。なにか違和感があったとするならば、怪物に襲われた松山巡査の姿が何処にもなかったということだけだろう]
以降、同じ様な事件が日本の各地に存在するお化け屋敷で相次ぐようになり、刺激的で楽しい筈であったこのアトラクションは衰退の一途を辿る事となってしまった。何故、お化け屋敷だけでこれ程までに怪奇事件が起こり始めるようになってしまったのか…それは定かではないが、これにとある人物達が名乗りをあげた。太古の昔より悪行を繰り返す邪の存在を秘密裏にその手で排除してきた集団『霊撃師』だ。彼らは言う「貴方達は奴等にとって最も都合の良い環境を与えているのだ。しかし、我々にとってもそれは都合がいい…」と。霊撃師達は自分達が怪異人種である事を政府に明かし、今回の事案に手を貸す代わりに人間と同等の人権を要求した・・・。
それから長い月日が経った今現在。時代は変わり怪異人種は日本の新たな人種として認められ、霊撃師は『霊撃部隊』と名を変え今も尚その使命を受け継いでいる。この組織は主に総本部を親とした構成となっており、本部管理の元『特殊執行部隊』があり、その下に『宣伝部隊』『開発部隊』『一般部隊』が連なり構成されている。
その中でも『一般部隊』の一角を担う中堅部隊がここ『霊撃部隊ゴースト・スピリット』だ。そして今、新人として一人のメンバーが新たにこの部隊へと加わろうとしていた。
「こんにちは。社長に変わって貴方の面接を担当する安倍光莉よ。よろしくね」
「こ、こんちわ!」
「では、まずお名前を聞こうかしら」
「八尺囮刃子。15歳である」
「(で、ある?)…続いての質問を致します。貴方は…見えないモノまで信じる事ができますか?」
八尺刃子。突如として現れたこの少女は果たして何者なのか・・・。
「可、信じるでありますのです」
その素性はまだ誰もしらない。




