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広場

 町へたどり着き周りを見渡すと、人々が広場の方へ小走りに走っていく姿が目に入った。


「おい、広場だっ!」


「王様が来るらしいぞ!」


「いったい何があったんだ!?」


「急げ急げー!」


 いつもの賑やかな町とは違い町中の騒がしい。路面店すらもクローズしており、人々が向かう広場へとオラグとリッシュも向かった。


 ****


 ガヤガヤ、ガヤガヤ。


 広場は人々でごった返しており、広場の中央に設置された高台に皆が目を向けているが、警備兵が六人いるだけでまだ王様の姿はない。これ以上は近づけないと諦め、オラグは高台から離れた場所でその時を待った。


「俺は今まであんな魔法見たことねーぞ。お前知ってるか?」


「俺だってねーよ」


「何かの祝いって事であっておくれよ」


「十年前の再来じゃ~」


 思い思いの言葉が風に乗ってオラグの耳に入ってくる。走ってきたが疲れなんて無い。それでも言葉が耳に入る度に汗が流れ落ちる。


 オラグは広場の緊迫した空気に触れ、落ち着いてはいられなかっが、その広場で見慣れた姿が見えて少しだけだがホッとした。


「オラグっ? ど、どうしてここに?」


「や、やぁアマンダ。両親が王様へ召喚されて⋯⋯。それに空に放たれた最上級魔法が見えて。いてもたってもいられなくなって走ってきたんだ」


 アマンダとバッタリあったオラグは簡潔に説明をする。それを聞いたアマンダはビックリしたままオラグに詰め寄る。


「両親が召喚されたって、オラグの両親はどんな人なの?」


「どんな人って言われても⋯⋯。優しいよ」


「そうじゃないわよ。名前とか職業とか」


「あー、そう言うことか。武道家と魔法使い。名前はバッシュとリーアンだよ」


 アマンダはさっきまで以上にビックリした顔で、オラグに詰め寄る。


「あっ、あんた。バッシュとリーアンって言ったら黒竜から町を守った英雄じゃない!」


 オラグの両親、バッシュとリーアンは十年前に町を襲った黒竜を討伐した英雄ではあるが、ギルドに興味が無かったオラグは資料なんか目にもとめなかったから知るよしも無かった。


 ただいつもニコニコしている夫婦円満の両親という認識しかなかったのだ。


「えっ!? そうなの。だから王様に呼ばれていたのか」


「あんた本当にギルドとかに興味ないのね⋯⋯。そんな凄い両親の子供な⋯⋯」


「きたよ!」


 アマンダの喋りを遮って、高台に登り姿を見せた王様を確認したオラグが喋る。


 王様を先頭に、後ろからは上級魔法使いが十人、武道家が一人。王様に続いて高台から姿が見える。


 その中には、バッシュとリーアンの姿もある。


 高台にいる全員が神妙な面持ちで広場に集まった人々を見ると、先程まで騒いでいたのが嘘のように静寂に広場が包まれた。


「皆のもの! 私から伝えなければならないことがある。とても厳しい事を伝えなければならず、申し訳ない」


 王様というこの世界では唯一無二の存在であり、全員が拝める立場の人間が頭を下げたのだ。


 民衆が頭を下げるのは当たり前だが、王様が頭を下げるとなれば話しは全然違ってくる。


 その王様の行動一つで人々は事の重大さを思いしる。


「気づいてるもいるかと思うが、先ほど国中の優秀な魔法使いと、武道家を集め、空へと放出した。それは、もう間も無く衝突するであろう巨大隕石を破壊する為だった」


 ザワザワ、ザワザワ。と、巨大隕石という言葉を聞き人々に動揺が走る。


「しかし⋯⋯。それは失敗に終わった。城に遣える学者達の見解では二週間もすれば、衝突し世界の半分は消滅するだろう⋯⋯」


 ⋯⋯。


「うそっ⋯⋯」


 オラグの隣にいるオランダは、膝から崩れ落ちた。

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