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クエスト

「よし、今日の鍛練も終了」


 いつもの場所でいつものように、座禅を組んで鍛練をしていたオラグが背伸びをしている。


「今日は早かったじゃないか。さて、これから何して遊ぶ?」


「いや、今日は町に行ってクエストをやってくるよ。流石に一ヶ月何もやらないのはお父さんもお母さんも怒るからね」


 首を左右に降りながらやれやれとジェスチャーをしながらオラグが答える。


「そっかー残念だよ」


「リッシュはたまには彼女とデートしたらいいんじゃない?」


「⋯⋯っ!?」


 驚いた顔をしているリッシュにニヤニヤと顔を覗きこむオラグ。


「ひっ、人の恋路を茶化すのは感心しないな。それにまだ恋人ってわけじゃないし⋯⋯」


「でも、好きなんでしょ?」


「⋯⋯ま、まぁ。ドングリを頬張るほっぺだがとってもキュートなんだよ」


 顔を真っ赤にしながらうつむくリッシュ。


 うんうん、わかない⋯⋯。と困惑はしたがそれを言うのは良くないとオラグは思い止まり、変わりに笑顔で、


「なら、他のリスに取られる前に頑張らないとね!」


 と、応援しリッシュと別れて町へと向かった


 ****


 自宅近くの森から町までは歩いて一時間ほど。


 中央にお城がある城下町だ。


 冒険者として名が売れるとスカウトされお城で働く事が出来るとあって、常に城下町ギルドは賑わっている。


 ちなみに、オラグの両親は『自然の中で子供を育てたい』とスカウトを断った過去があるがオラグはそれを知りはしない。


「なにか楽なのがいいな~。時間がかかるのはパスだよね」


 ギルドの掲示板に張り出されているクエストの左端にオラグは位置取り、報酬額には目もくれず、時間が短かそうなものを物色する。


 左端から右に向かうにつれて高難易度となっていくがオラグは左端から動いたことがない。


「今日だとこれだな。ゴブリン三体退治、一時間もかからずに終わりそう」


 クエストの用紙を掲示板から外してカウンターへと持っていく。


「おぉ、オラグじゃないか。久しぶりじゃな」


「ベレッドおじさん久しぶり。受付してもらっていいかな」


「どれどれ。⋯⋯ん、ま~たゴブリンじゃな。お主そんなものばかりじゃいつまでたっても昇格出来んぞ」


「そのうち昇格は目指すよ。終わったらまた来るね」


 昇格をするつもりが無いオラグはいつもこんな感じに返事だけする。


 依頼中の判子を貰った用紙をポケットにしまいギルドを出ようとするといつもの三人組に声をかけられる。


「あれ~、誰かと思ったらFランクのオラグじゃんか」


「もしかしてクエストか?」


「ど~せまだゴブリン退治なんだろ?」


 カタバ、サナマ、ヤバダはそれぞれに口を開くがどれもオラグをからかった言葉。


「ん~、俺じゃこれくらいしか無理だからさ」


 そんな三人の言葉に気にする様子もなく、いつものように言葉をかわす。


「可哀想なオラグだな。俺なんかもうすぐCランクになるって言うのに」


「へ~、それは凄い! 頑張ってよ」


 これもいつものオラグの対応だ。そんな話しをしていると、後ろから今度は女性が近づいてくる。


「アンタ達は毎回毎回⋯⋯。人をからかう前に鍛練しないよ! そんなんじゃ私と同じBランクなんて先の先よ」


「うわ出た、アマンダ」


「いっつも急に現れるな」


「あれ~、もしかして?」


 ⋯⋯カチャ


 アマンダは無言で静かに腰にさしていた剣の鞘に手をかける。


「逃げろー」


「ぎゃはっはっはっ」


「アマンダ顔真っ赤じゃ~ん」


「今日こそ許さないんだからー!」


 三人はいっせいに走り、その後ろをアマンダが追いかけて行ってしまう。


「ははっ、いつも賑やかだな」


 そんな四人を見送って、クエストを終わらせるために、来た道とは反対の森へと一人で向かうのだった。

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