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第3話「異世界から召還された男」



「私はこの世界の人間では……ない」

「……えっ?」



 コウイチが何の脈絡も無く突然そんなことを言ってきた為、ルイは一瞬、言葉を失った。


「と、突然、すまない……ビックリした……よね?」

「は、はあ……………………で、でも、それよりも……この世界の人間ではないなんて……それってどういう意味ですか?」


 ルイがコウイチの言ったことに対して驚く以上に興味を抱いたことにコウイチは頬を緩ませる。


「フフ……そのままの意味だよ? まあ、少し長くなるが私の話を聞いてもらってもいいかな? ちなみにルイ君……この話を聞いた上でもう一度、同じ質問をしたいがいいかい?」

「同じ質問?…………『世界を変えるだけの力があったら……』という質問ですか?」

「そうだ。私の話を聞いた上で、もう一度、答えを聞かせて欲しい」

「わ、わかりました……」


 そうして、コウイチはこれまでの話をルイに語った。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



――今から三年前


 私はこの世界にやってきた。


 というより…………召還された。


 私は元々『地球』という……こことは違った世界で生きていたのだが、ある時、半ば強制的に異世界であるこの国…………レーティア王国のお姫様に『勇者』として召喚された。


「地球……? こことは違った世界……?」

「ああ……こことは違う世界……つまり『異世界』ということだ」

「ち、ちなみに、どんなところなんですか……『地球』って!?」

「そ、そうだな……こことはかなり異なる世界だ。例えばこの世界での移動手段は『馬車』だが、私がいた世界では『自動車』という……わかりやすく言えば『機械で作った馬車』みたいなものがあったりする」

「す、すごい……っ!!!」


 ルイは瞳をキラキラさせながら『地球』の話を聞いていた。


 というか、かなり食いついていた。


「ル、ルイ君……君の気持ちもわかるが先にこの世界に召還された話から進めるね?」

「!? あ、はい……す、すみませんでした……っ!?」


 ルイは私の困惑の真意に気づいたようで、顔を紅潮させすぐに頭を下げた。


(やはり、この子……頭がいいな)


 私はこの国の姫様に召喚される前……実は『神の代理』を名乗る『神代しんだい』という者が住む世界へと飛ばされていたんだ。


「か、『神の代理』……ですかっ!?」


 また、話に食いつくルイ。


 まあ、無理もない。


 とりあえず、コウイチはルイの反応に特に触れることなく話を進める。


 彼……『神の代理』を自称する『神代しんだい』という少年は、私に……『君に授けたその『力』で召喚先の世界の平和を取り戻して欲しい』と頼みこんできた。私は彼の願いを聞き入れることを了承し、そうして『能力覇者』という力を手に入れ、この世界に、この国に…………召喚された。


「の、『能力覇者』……っ!? それって魔法……ですか?」

「いや魔法ではない…………この世界で言うのであれば、どちらかというと……特殊能力みたいな考え方になるかな?」

「特殊……能力……」


 ルイはコウイチの言っていることに理解がまったく追いついていなかった。


「まあ、その辺はおいおい教えてあげるよ」

「わ、わかりました」


 そう言って一旦『能力覇者』の話は横に置き、コウイチは話の続きを進める。



 私は気がつくと、この国……レーティア王国の『王の間』に召還されていた。


 周囲を見ると、私を召還した姫様以外に王様や神官、それに護衛の兵士のような者など十数人の人間が確認できた。


「ちなみに、私を召喚したレーティアの姫様というのは……まあ、知っていると思うが名前は『アイシャ・レーティア』という、現在…………この国の『女王陛下』として君臨する女性……『アイシャ・クイーン・レーティア』だ」

「は、はい、勿論知ってますっ! 多くの国民から絶大な支持を受けているお方ですよね」

「…………まあ、そうだな」

「で、でも……僕的には女王陛下を見るといつも胸がざわつくというか何と言うか、何故か、ちょっと……『怖さ』…………を感じちゃうんですよね」

「……そうか」


 コウイチはそんなルイの言葉にニッと笑いながら話を続ける。


 召還された私は、召還した姫様……アイシャに人間は魔族の王である魔王に平和を脅かされており、それらを倒し世界に平和を取り戻してほしいと頼まれた。


 私はこれが『神代しんだい』が言っていた世界の平和を脅かしている原因だと思ったので、姫様の願いを聞き入れ、魔族や魔王を倒し、『神代しんだい』との約束どおり、この世界の平和を取り戻すべく『魔王討伐』を決心した。


 その後、私は姫様から一緒に戦ってくれる仲間として……戦士、魔導士、剣術士の三人を紹介され、彼らと共に魔王討伐に出掛ける。


――それから一年後


 私は激闘の末、『魔王アシュトラス』を倒すことに成功する……………………が、魔王は死ぬ直前、私にある事を告げた。


『愚かな人間よ、哀れな勇者よ…………君は……人間に……騙されている……………………気をつけなさい』


 最初は魔王が負け惜しみを言っている程度でしか思っていなかったが、その後………………その魔王の言葉が正しかったことを知ることとなった。



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