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337『魔力値1の私が大賢者と呼ばれるまで』

さらに時を重ねる事30年。

各国と適当な距離を取りながら、それでも一定量、ポーションなどを供給してきたアンナリーナは、その頃にはもう既知のヒトはいなくなっていたが、それでも供給はやめていなかった。


「とうとうユングクヴィスト様も旅立ってしまわれた……」


賢者と呼ばれ、長い年月を生きてきたユングクヴィストも、その前にはライオネル王や、アレクセイ・サバベントも先立っていった。

それなのにアンナリーナだけは変わらない。体力の衰えすら感じられないアンナリーナは、この後どれほど生きるのか、眷属や従魔たちが居なければ、生きることにも膿んでいただろう。

そして伴侶であるテオドールにも先立たれてしまったが、今は彼自身の希望によりアンデッドとなってアンナリーナの傍にいる。



ダンジョン巡りは相変わらずで、攻略したダンジョンは数知れず。

ごっそりと討伐してきた魔獣や採取してきた素材をギルドなどに卸すことで、世間に還元している。

スタンピートへの対処も相変わらずで、この時とばかりに浮島へ魔獣を転移させていた。

何度もあった飢饉や、伝染病への対処、その特効薬の開発など普段は関わらないようにしているアンナリーナが無償で手を差し伸べることも多々あった。

相変わらず気まぐれであったが、浮島という特殊な場所に住み、人智を超える技術を持つ集団を、いつしか人は【使徒】と呼んだ。

そしてそれらの使徒たちが盲目的に仕えるのがアンナリーナ……大賢者だ。





辺境の村に生まれた、前世の記憶持ちの少女は、準成人となってギフトを授かるまで魔法が使えない半端者だった。

魔力値が1しか無かった彼女は、その授かった特殊なギフトによって魔力値を増やしていく事に成功し、薬師として生計を立てる事が出来た。

日々倍増していった魔力値と体力値は最早人のものとは思えず、現在はそれが原因で老いることも死ぬ事も出来なくなってしまった。

幼い頃に受けた虐待で、根本的に人嫌いな彼女は最低限にしか人と関わろうとはしない。

でも、その最低限な関わりの中で、幾度も人々の危機を救ってきた彼女を、世間は尊敬を込めて、こう呼んだ。


“ 大賢者 ”と。




ー完ー


アンナリーナのお話は、これで一旦終わりになります。

本日まで読んでいただき、ありがとうございました。


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