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331『転移門』

 まずはアンナリーナがこちら側の転移門を作る場を開けなくてはならない。

 それは、一度拵えれば自動的に魔獣を送ってくれる便利なものなのだが、これの魔法陣を構築して、定着させる時間が必要だ。

 その間、この大蛇のように続く魔獣の列を一旦止めなければならない。


「初っ端の一発は私が打つわ!

 あとはセトの魔法と熊さん、イジでお願い。

 私に3分、ちょうだい!」


 普段は詠唱など必要としないアンナリーナだが、今回だけは別だ。

 いくら低ランクの魔獣だからと言って、オークやオーガは侮ってよい魔獣ではない。


「第一波でなぎ倒します!」


 その言葉とともに溢れ出た魔力が、ダンジョンから現れる魔獣を襲い、なぎ倒される。

 そこにセトの魔法が放たれ、続いて防御結界が張られた。

 それでも溢れた魔獣には、テオドールとイジが向かった。

 そしてアンナリーナは転移門の詠唱に入り、そこには巨大な魔法陣が浮かび上がった。


「展開っ!!」


 回転し始めていた魔法陣が輝き、膨大な魔力が注ぎ込まれて、次の瞬間強風が吹き荒れた。


「セトっ! 結界を消して!」


 テオドールとイジは瞬時に飛び退さり、十分な距離を取っていた。


 再び湧き出した魔獣は、そのほとんどが転移門の中に進んでいく。

 ただ門の脇に溢れた魔獣はそのままスタンピードの列に続いて行った。



「まあ、こんなもんでしょ」


 アンナリーナは別にスタンピートを収めようとしたわけではない。

 ただ、自分の土地……浮島の住人兼生き餌が欲しかっただけだ。


「じゃあ、浮島の方に戻って迎え入れようか。

 あんまり放っておくとあちらでごちゃごちゃになっちゃうからね」


 アンナリーナはこのダンジョンから少し離れたところに転移点を設け、浮島に戻っていく。


「このダンジョンも、もう少しレベルの高い魔獣が出たら楽しみなんだけどね」


 目に止まった個体がいれば、契約する事もやぶさかではない。

 むしろ、鵜の目鷹の目で契約獣にするつもり満々である。


「皆のご飯になる獣も増やしたいわね。

 生きたまま連れてくるには、やっぱり罠?

 あまりやり過ぎたら生態系が崩れるから彼方此方から集めてくれる?」


 今、アンナリーナの頭の中には、将来のビジョンがしっかりと映し出されていた。


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