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328『スタンピートと浮島』

 領都に戻ってきたアンナリーナは、学院で精力的に知識を吸収していた。


 今は冬。

 冬籠りしている町は、必要最低限の人間が動く、一種独特の世界だ。

 アンナリーナは、学院で勉強している以外はツリーハウスに戻っていたので、穏やかな刻を過ごしていたと言える。

 そんななか、入ってきた報せは衝撃的なものだった。



「え?! スタンピート? 何処で?」


 その時アンナリーナは、出身地バルトニェク大陸で浮島を浮かせる場所の候補地を絞り込んでいるところだった。


「この大陸の北東の方角。

 小国家が集まっている、ごちゃごちゃした地域だ。

 揉め事も多くて、ここらの冒険者はあまり行きたがらないところだ」


「そんなところの情報がよく入ってきたねぇ」


 テオドールが機嫌悪げに唇を歪めた。


「だっておまえ、ここから国2つしか挟んでないんだぞ。

 ……これは未確認情報だが、今回のスタンピートは過去最大の規模だと言われている。

 冒険者ギルドからも斥候が派遣されているから、もうすぐ詳しい事がわかるだろう」


「ねぇ、それって」


 アンナリーナが、良くないことを思いついた時の悪い笑みを浮かべている。


「その魔獣、少しもらっちゃっていいかな?」


「何をするつもりだ?」


 テオドールは警戒しながらも、また大量に素材を得るつもりなのかと訝った。そのわりには嬉しそうだが。


「そこそこ捕獲してきて、浮島に放そうと思ってる」


「おまえ……」


 テオドールの間抜け面に、アンナリーナは声を出して笑った。


「今のところ生き物はいないし、うちの子たちのご飯になる魔獣くらいいないとね。まあ、生き餌だと思ってくれたらいいよ」


 開いた口が塞がらない。

 これがセトやイジなら納得して頷くところだ。


「さてと、じゃあ浮島を固定しなきゃね。

 それから転移門を浮島とスタンピートの前方に設置して、直接送り込んじゃう。

 熊さん、ダンジョンに向かう準備をよろしく、人選も任すわね」


 この後アンナリーナはいくつか候補にあげていた場所のひとつ、大海のど真ん中に最大の浮島を浮かべた。

 例の滝のある、四国規模の浮島だ。

 そこには山、森、草原、川、泉、その他の自然のすべてがある。

 ここに魔獣や獣を放して、アンナリーナは生態系を構築しようとしていた。


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