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305『追跡……?』

 アンナリーナは基本、目立つ事は好まない。

 なので普段はなるべく表立った事は避けるのだが、今日は違った。

 ウェンライトから馬車を飛ばし学院に帰ってくると自室に駆け込む。

 そして驚くアラーニェに挨拶もそこそこにツリーハウス経由でダンジョンに向かった。


「セトっ!セトはいる?」


 ダンジョン班の責任者として常駐しているセトは、主人であるアンナリーナの取り乱した様子に何かあったのかと駆け寄った。

 いつになくアンナリーナは興奮していた。そしてびっくりするような事を言い出した。


「セト、一緒に来て。

 追いかけたい人がいるの」


「追いかける、のか?」


 小走りに駆けながら、今来た道筋を戻っていく。


「そう!

 セトに乗って追いかけるの」


「ドラゴンになって?」


「もちろんそうだよー」


 さすがに町の中からドラゴン形態のセトに乗って飛び立つわけにはいかないので、アンナリーナは町の外の森の中から飛び立つ事にする。


「その、追いかけるのはどういった人物なんだ?」


「私にとって、とっても重要な案件を叶えてくれるかもしれない人なんだよー!」


 早く、早くとせっつくアンナリーナを、珍しいものをみる目で見るセトは諦めたように溜息を吐くと、瞬時にドラゴンに変化した。

 森の中の、それなりの空き地で変化したのだがもちろん収まりきらない。

 バキバキと周囲の木を倒しながら、セトは強靭な翼を広げ浮き上がった。


「主人、どちらの方向に向かえばいいのだ?」


 そっと合わせた掌の中に閉じ込めたアンナリーナに、ぶっきらぼうに聞くセトだが、彼は細心の注意を払ってアンナリーナを運んでいる。


「とりあえず北に向かって。

 探査をかけながら相手を探すわ。

 騎鳥の集団だと思うから早々に見つかると思うの」


「承知」


 その日、魔人領の首都では近くの森からブラックドラゴンが飛び立ったと、噂が広がった。




 旅立ちとしてはまあまあな天気の中、老公爵……テラシォン公爵の一行20人は13羽の騎鳥に乗って北へと向かっていた。

 旅程は騎鳥を使っても約5日。

 第一日目の今日は夕刻ギリギリまで飛んで、通称第三帝国と呼ばれるダベントーラ帝国の辺境領タベラで宿泊する予定だ。

 この時期珍しい騎鳥の集団は綺麗な隊列を組んで大空を進んでいた。

 そこに、高速で黒い影が近づいてきている事には気付かずに。


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