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302『力ずくのティム』

「ネロはどう思う?」


 長いようで短かった夜が明け、アンナリーナはイジから報告を受けてネロに問いただした。

 ちなみに今回も、アンデッド・ケフィンは夜明け前に地面に吸い込まれるように姿を消したそうだ。


「そうですね、私は冒険者に情けを云々は別として、純粋に興味が高まりますね。

 リーナ様、もしお許しがいただけるなら今回はテストケースとし、ティムしていただけないでしょうか?

 私どもはこれまでアンデッドの発生するダンジョンを経験しておりませんが、これからはわかりませんし……そういう場所でアンデッドのティムの必要性も無きにしも非ず。

 ここで体験しておくのも良いと思うのです」


「そうだね……

 私も凄く興味があるんだけど、倫理観とか遺族の意向とか?

 やっぱりうるさく言うものがいると思う」


「それならヤルディン殿に話を通せば?」


 アンナリーナは、あの虚ろな目をしたアンデッド・ケフィンの顔を思い出した。

 彼を生きていた時と変わらない状態にすることは難しいだろうが。


「わかったわ。話してみます」




 アンデッド・ケフィンをティムする。

 この事に関してヤルディンから文句が出ることはなかった。

 ただ、死人になった彼がこの町に姿を現わすと色々問題があるとのことで、ここにいる間は表に出さない=ツリーハウスに留め置くことにした。

 だが、まずはティム出来るかどうか、である。



 アンナリーナたちの思いを見透かしたように、それから3夜の間アンデッド・ケフィンは姿を現さなかった。

 そして4日目、夜番をしていたテオドールが最初にその気配に気づいた。


「おいでなすったぞ。

 ジルヴァラ、リーナを呼んでこい」


 一緒に夜番をしていたジルヴァラが馬車に駆け込んで行く。

 そして間を置かずネロがやって来た。


「リーナ様は今支度なさっています。

 ひょっとすると長丁場になるかもしれないので、それとティムするときは直に身を晒すわけですからね」


 防御魔法くらいはかけられるが、結界を張るわけにはいかない。

 そして自我を持たないはずのアンデッドをどうやってティムするか……

 本来なら同意が必要なはずのティムをアンナリーナは力ずくで行なおうと思っていた。


「お待たせ。

 うん、ケフィンくんは今夜も元気そうだね」


 カリカリと結界を引っ掻くさまは、前世でのゾンビ映画を思い出す。

 彼は見た目はそれほど酷くないので、まだマシだ。


「それでは始めますか。

 熊さん、イジ、セト、サポートよろしくね」


 一瞬で結界が消え失せ【圧縮】で押さえつけられたアンデッド・ケフィンは、地面を引っ掻いてこの状況から逃れようとしている。

 アンナリーナは一層強く【圧縮】してアンデッド・ケフィンの顔の前に立った。


「ケフィン、あなた私に従属なさい」


 とんでもない量の魔力で威圧して押し潰す。

 もがくアンデッド・ケフィンを潰してしまわないギリギリの域で攻めつけた。


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