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24『モロッタイヤ村最後の夜とチートなギフト』

 デニスが連絡を取ってくれたのは、エビ漁の漁師と乳製品を一手に引き受けている牧場だ。


 結論から言うとアンナリーナはこの村にかなりの金銭を落としていった。

 デニスのところはもちろん、各農家や、前出の漁師、牧場主にもだ。

 ここの品が質の良いのもあったが、アンナリーナを不審者扱いしなかったのも大きい。


「でも、こんなに景気良く買い取ってしまって良かったのでしょうか?」


 彼女の呟きはあっさりと否定された。


「この村では、もう今月の末くらいから各農作物の収穫が始まる。

 皆、それを見越して余剰分を売ったんだ。感謝してるんだぜ、ありがとう、お嬢ちゃん」


 アンナリーナはこの村で金貨80枚以上を使った。

 もちろん、後悔はない。



「では明日の早朝、牧場からは朝一に搾ったミルクが、漁師からは今夜仕掛けてある罠で取れたエビが宿屋に届けられる事になってる。

 出発が少し遅れちまうが、勘弁してくれ」


 まったく問題ない。


 暗くなりかけた道を、宿屋まで送りながらデニスが言う。


「秋口になったらひと通りの収穫は終わってる。ぜひ、また来てくれよな」


「もちろんです!

 絶対に寄らせてもらいます。

 本当にありがとうございました」


 ペコリとお辞儀をして、デニスと別れると宿屋に入っていく。

 アンナリーナと宿屋の夫婦にとって、これからが戦争だ。



「ただいま〜」


 努めて呑気を装って、店の方に向かうと料理の下ごしらえの数々が並んでいた。

 ここでアンナリーナは、僅かな休憩を取っていたアンソニーにある “ 置き土産 ”をする事にした。


「アンソニーさん、ちょっとこれの味をみてもらえないかな」


 アイテムバッグから【マヨネーズ】を出して机に置いた。

 アンソニーだけでなく女将も初めて見るものを訝しげにみている。

 先に、好奇心に負けたのはアンソニーだった。

 小さな陶器の入れ物に入った、黄色ががったクリーム状のものに匙を突っ込み味見する。


 口に入れたその瞬間、電撃に打たれたように固まってしまったアンソニー。

 その初めての味は、それほど衝撃的だった。


「これっ、これはなんですか?!」


 匙を持つ手がそのまま口の前で止まり、アンソニーが早口でまくし立てる。

 彼の興奮はなかなか治らない。


「これは【マヨネーズ】と言って、私の亡くなった師匠の出身国特産のものです。

 生野菜などに良く合いますが、こうして……」


 アイテムバッグから薄くスライスしたパン、ゆで卵、きゅうりなどを取り出し、パンにマヨネーズを塗りゆで卵、きゅうりを挟んで差し出した。


 おずおずとパンを受け取ったアンソニーが一口食べて目を見開いた。


「いつもの、アンソニーさんが作って下さるグレービーソースのサンドイッチも美味しいですけど、これもなかなかでしょ?」


「リーナさん!

 ぜひ、ぜひこの【マヨネーズ】の作り方を教えて下さい!」


 アンナリーナの胸ほどもない身長のアンソニーがずい、と近づいてくる。

 そのあまりの迫力に、思わず後退って、慌てて言った。


「うんうん、わかってるよ。

 ちゃんとレシピも用意してるからね。

 だから、どうか落ち着いて」


 まず、アンナリーナが取り出したのは目盛りの入ったビーカーと匙。


「この【マヨネーズ】は材料の分量が大事なんですよ。

 きっちり測って、混ぜる順番も守ってね」


 次はレシピを書いた紙を渡す。


「重要なのは鮮度です。

 ある意味、鮮魚より取り扱い注意ですよ?

 玉子は必ず、その日に産んだ生食できるものを。これは絶対守って下さい。

 酢は、柑橘類の果汁でも構いません。

 あと油ですが、食用の植物油で。

 これもなるべく新鮮なものを、ただそれなりの量が要るので……案外これが一番難しいかもですね。

 それからマヨネーズは日持ちしません。作ったらその日のうちに使い切って下さい」


「色々、難しいのですね……」


「時を止めるアイテムボックスがあれば、もう少し扱いやすくなるんですけどね」


 苦笑するアンナリーナの前で、夫婦は作成の為の材料のチェックを始めた。

 だが、やはり植物油が切れていて今夜は再現出来ない。


 そしてこのあと、夫婦の手によって作り出されていく料理を、アンナリーナはひたすらアイテムバッグにしまっていくのだった。



 頃合いを見計らって部屋に戻ったアンナリーナは、忙しかった今日一日を思い出し、溜息した。


「【洗浄】【魔力値倍増】【結界】」


 ポケットからセトを出してやり、水を与える。そのお腹はぽんぽこりんだ。


「さて、今日は先にセトの方を片付けちゃおうか?

【体力値供与】【魔力値供与】

 そして【鑑定】」


 セト(アイデクセ、雄)

 体力値 550

 魔力値 50


「次は私だね……ちょっと緊張するよ」


 セトが、どうしたの?と言いたげに覗き込んでくる。


「うん……

 ギフト【異世界買物】」


「ステータスオープン」



 アンナリーナ 14才

 職業 薬師、錬金術師、賢者の弟子

 

 体力値 102400

 魔力値 24843571040255/34843571040256

(ステータス鑑定に1使用、異世界買物に10000000000000使用)


 ギフト(スキル) ギフト(贈り物)

  [一日に一度、望むスキルとそれによって起きる事象を供与する]

 調薬

 鑑定

 魔力倍増・継続 (12日間継続)

 錬金術(調合、乾燥、粉砕、分離、抽出、時間促進)

 探索(探求、探究)

 水魔法(ウォーター、水球、ウォーターカッター)

 生活魔法(ライト、洗浄(クリーン)修理(リペア)、ファイア、料理、血抜き、発酵)

 隠形(透明化、気配掩蔽、気配察知、危機察知、索敵)

 飛行(空中浮遊、空中停止)

 加温(沸騰)

 治癒(体力回復、魔力回復、解毒、麻痺解除、状態異常回復、石化解除)

 風魔法(ウインド、エアカッター、エアスラッシュ、ウインドアロー、トルネード、サファケイト)

 冷凍(凍結乾燥粉砕(フリーズドライ))

 時間魔法(時間短縮、時間停止、成長促進、熟成)

 体力値倍増・継続(12日間継続)

 撹拌

 圧縮

 結界

 異空間収納(インベントリ、時間経過無し、収納無限、インデックス)

 凝血

 遠見

 夜目

 解析(スキャン)

 魔法陣

 マップ

 裁縫

 編み物

 刺繍

 ボビンレース

 検索

 隠蔽(偽造)

 従魔術(ティム)

 体力値供与

 細工

 再構築

 無詠唱

 悪意察知

 魔力値供与

 空間魔法(転移)

 異世界買物



「うわ〜 うわ〜 うわ〜!!」



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