旅立つ日まで 4月19日
昨日からのマイブーム【菓子作り】はまだ続いていた。
いつもより早く……まだ薄暗いうちに起き出した彼女は備蓄してあった黒パン(この国で通常食べられているもの)と一昨日作ったトサカ鳥のオレンジソース煮で朝食を摂った。
「鳥肉が大量にあるから作ってみたけど美味しいね。
前世の味覚も蘇って、醤油も使ったなんちゃってオレンジソース煮の方が良く感じるのは、やっぱり日本人だったってことか」
それでもアンナリーナとしての食生活とは比べようのない豪華さだ。
「では、さっさと【スィートポテト風ケーキ】を作っちゃいましょう」
潰した甘藷や粗糖、卵に牛乳、バター、蜂蜜。特にこの世界の牛の乳は濃厚で、ケーキ生地に入れる分には十分生クリームの代わりになる。
これらを混ぜて、小麦粉少量を振るいながら合わせると生地の出来上がり。
あとは余熱した魔導オーブンで焼けば濃厚な【スィートポテト風ケーキ】の完成だ。
「んと【少しだけ冷却】」
魔法で粗熱を取り、魔導冷蔵庫に入れたのはパウンドケーキ型5本分。
明日には切り分けて、一個ずつ包んでいく。
着々と進む出立の準備に、アンナリーナは感慨深げに部屋を見回していた。
「ギフト【圧縮】」
「ステータスオープン」
アンナリーナ 14才
職業 薬師、錬金術師、賢者の弟子
体力値 200(③)
魔力値 262043/262144
(ステータス鑑定に1使用、圧縮に100使用)
ギフト(スキル) ギフト(贈り物)
[一日に一度、望むスキルとそれによって起きる事象を供与する]
調薬
鑑定(看破)
魔力倍増・継続(12日間継続)
錬金術(調合、乾燥、粉砕、分離、抽出、時間促進)
探索(探求、探究)
水魔法(ウォーター、水球、ウォーターカッター)
生活魔法(ライト、洗浄、修理、ファイア、料理、血抜き、発酵)
隠形(透明化、気配掩蔽、気配察知、危機察知、索敵)
防御
飛行(空中浮遊、空中停止)
加温(沸騰)
治癒(体力回復、魔力回復、解毒、麻痺解除、状態異常回復、石化解除)
風魔法(ウインド、エアカッター、エアスラッシュ、ウインドアロー、トルネード、サファケイト)
冷凍(凍結乾燥粉砕)
時間魔法(時間短縮、時間停止、成長促進、熟成)
体力値倍増・継続(12日間継続)
撹拌
圧縮
「? ずいぶん【圧縮】の取得魔力値が高いね」
アンナリーナは料理などに使うつもりで取得したのだが、実はこのスキル、とんでもなく凶悪なスキルなのだ。
考えてみよう……この【圧縮】を人や建物に使った場合を。
彼女がこの事に気づくのはもう少し後の事だった。
本来なら昨日出掛けるはずだった、アンナリーナのお気に入りの健康茶の材料を採取に行く。
【エスギナ】と呼ばれるそれは、前世ではスギナと呼ばれた植物だ。
この群生地が村に近い森の外れにあり、アンナリーナは先日から機会を伺っていたのだ。
アンナリーナはいつもの採取ルックに隠形や鑑定、防御を重ねがけしてゆっくりと飛行し、森の出口に向かった。
エスギナは、その用途を知らないものにとっては繁殖力の強い雑草に他ならない。
だからアンナリーナにとっては取り放題の薬草だった。
今日も特製の鎌で根こそぎ刈っていく。
そして、何か情報が得られたらいい、くらいの気持ちで村の畑に近づいた。
そこでは農作業中の村人が手を止めて話し込んでいる。
彼らは、声を聞くために森から出て近づくアンナリーナに気づくこともない。
「……だから3日後の森狩りの時は油を用意して火を……」
アンナリーナは危うく叫びそうになった。
衝撃に過呼吸になりながらよたよたとその場を離れていく。
「3日後……」
それはちょうど、アンナリーナがこの森を後にする予定の日だった。
4/1 魔力値 1 魔力倍増取得
同日夜 (推定)魔力値 2
4/2 (推定)魔力値 4
4/3 鑑定取得
4/4 魔力値 8
4/5 ① 魔力値16 魔力倍増・継続取得(魔力倍増は併合
4/6 ② 魔力値32 探索取得
4/7 ③ 魔力値64 水魔法取得
4/8 ④ 魔力値128 生活魔法取得
4/9 ⑤ 魔力値256 隠形取得
4/10 ① 魔力値512 防御取得
4/11 ② 魔力値1024 飛行取得
4/12 ③ 魔力値2048 加温取得
4/13 ④ 魔力値4096 治癒取得
4/14 ⑤ 魔力値8192 風魔法取得
4/15 ⑥ 魔力値16384 冷凍取得
4/16 ⑦ 魔力値32768 時間魔法取得
4/17 ⑧ 魔力値65536 体力値倍増・継続取得
4/18 ⑨ 魔力値131072 撹拌取得
4/19 ⑩ 魔力値262144 圧縮取得