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トラベルライフ  作者: ミッシェリ
6/6

無言

集落を目指すもだんだん、足取りが重くなってきた。

疲れがでてきただけではない。

残していったもの、託された命、これからしなければいけないこと。

ジースがいっていた言葉が頭をよぎる。

「……なあ、リト。こんな大戦いつか、いつか終わるよな?」

問われたリトは無言のまま、空を眺めた。

あの時、俺はなんか言ってやればよかったのだろうか?

『明けない夜はない』と。

集落の門を開けると。

「お帰りなさい、ジースさんは?」

リトとスミスは黙ってその場を後にした。

門番は黙って息をんで、何かをこらえるように、リト達に向かってぼそぼそと告げた。

「お疲れ、さまでした」

門を抜けた先の洞窟は、広々とした空間が広がっている。

そこには、3000人に近い人々が暮らしている。

リトはスミスと別れ、木を組んだ階段を上がった。


階段を上がると、大きな広場があり、こちらに気づき、一人の少女がこちらに走ってきた。

白い髪と青い瞳は、輝きに煌めいている。

リトに前にきた少女が叫んだ。

「おっそ〜い、私、結構心配したのよ」

「悪い姉さん、これでも急いだんだ」

素っ気なく言ったリトが地面に腰を落としたとき、広場の端から声が上がった。

「パパ」

リトが声の方に振り向くと、幼い少女が駆け寄ってきた。

「リトのお兄さん、パパは!?」

リトは答えられなかった。

茶色い瞳がよく似ている、ジースさんの娘。

いつもどうりの声で、リトは言った

「カレン、パパはもう帰ってこない」

少女は言葉が理解できなかったのか、まだこちらを向いている。

だか、リトが無言のままでいると、少女はゆっくりとリトに言った。

「必ず帰るって! パパは必ず帰ってくる、だからいい子でいてとパパは言ったよ、だからわたし、いい子でいたのに…… どうしてパパは帰ってこないの!?」

「……ジースさんは死んだからだ」

「嘘つき、パパは必ず帰ってくるって言ったもん!」

少女の絶叫が洞窟内に響いた。

「ジースは約束を守ろうとしていた、だか敵と遭遇し、ジースさんが囮になった、彼のおかげで僕は生きている。」

「そんなの知らない!」

ああ、彼女は正しい、そうリトは思った。

誰を守って、何の為には死んでも、彼女は知ったこおもない。

鋭い声が、飛んできた。

「リトが死ねばよかったのに」

若い女の声、ジースの妻、彼女の母がいつのまにかここにいて、リトの顔を睨んでいた。

リトはとっさに胸に触れ

大丈夫だ、問題ないはずだ、こんなことは慣れているはずた、なのに……

なぜこんなにも胸がいたいのだろう。

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