誰かを守る為に
クレーターの近くには廃棄都市があり、そこで資材を獲得するのが目的である。
廃棄都市に向かおうとした時……
地面が大きく揺れた。
一瞬で3人は物陰へ飛び込み身を潜めた。
ジース、スミスはリトから送られたハンドサインを確認し、冷たい汗がにじんだ。
(…距離は約200m、二足歩行、複数体、おそらくトロールだろう。)
2人はリトのハンドサインを待つまでも無く確信する。
トロールは恐るべき力を持ちながら、知性が低い怪物。
なら、自分達の力で戦える?
正直いって不可能だ。わかりきっている。
相手がたとえ知性が低い怪物でも、ひとなでで人間は肉塊に変わる。
そう彼らは己が強者で、己の力が全てを解決できると思っているから、生半端は知性で理解していけるのだ。
もし、入念に準備して敵を倒したとしても、何の意味がある?
我々人間は最弱であり、多種族を警戒しながら生きてきた。
もしここで倒して、多種族に『脅威』と認識されれば?
人間は抵抗の余地無く、根絶される。
だから、ここで取れる選択は一つしかない。
逃げる、それ以外の選択肢は存在しない。
そう、俺たちは存在しない、存在してはならないのだ。
リトは振り返り告げた。
「ここで死ぬ」
スミスは苦笑いしながら、当然とリトに進みでる。
「おいまてよ。」
震えるスミスの手を確認しながらスミスに笑いかけた。
「わかってるいるだろう、ここは誰か一人死ぬしか、俺らの取れる選択は〝無い〟
1人が囮になって、残りが逃げる。それしかないんだ。
もし、3人で逃げたら俺らの拠点がバレて、人間は全滅、もしくは俺か3人が全滅。
リトが考えたのは一人を取るか皆んなを取るかしかなかった。
ジースが深く息をつき言った。
「リトはここで失ってはならない。スミスは長年の経験がある、誰が行くかなんて単純な話だ。」
「けど…… たがらってお前が行く意味ないじゃねえか。」
スミスは微笑んだ。
「気にすんな。仲間を守る為なんて、死ぬ理由としたらかっいいだろ?」
ジースはリトの肩をたたき
「じゃあな、後は任せたぞ。」
……悪い、ジース。
「あああああぁぁぁ!!」
そうしてまた叫び声が消えた。
気づいた人もいるかもしれませんが、1話を若干編集しましたので、よければ読んできてください。