第3話ー魔女の住みかー
「ーーー私の、出番?」
まだ理解していないリーフとローズに、ルナが優しく説明します。
「そうよ、あなたの力でこの湖の水を凍らせるの!そうすれば、私たちは凍ることなく水の上を歩いて塔までたどり着けるわ!!」
「あぁ、これはローズにしか出来ないことだぜ?」
ルナとフレイの言葉に、ローズは心底驚きました。
「ーーー私にしか出来ないこと…私もみんなの力になれる?」
「えぇローズ、あなただけが頼りなの」
自分にもみんなの力になれることがある。それはローズにとって、ずっと願って来たことでした。
だから力強くうなずいて、
「ーーうん。私、がんばる!!」
そう言い切ると、ローズは右手を湖に向けて軽く目を閉じ願います。
「水さんーーー凍って」
その言葉と共に、湖の水が端からあっという間に凍りついて行くのを見て、4人は喜びの声をあげたのでした。
「さぁ、行きましょう!お母様を助けに!!」
つるつるとした氷の上を、滑らないように気を付けながらそろそろと歩き、とうとう4人は塔の入り口へとたどり着くことができました。
「あ、開けるわよ」
「こ、こわいよぉ」
リーフだけでなくさすがのルナも、魔女のいる塔の扉を開けるのはちょっぴり怖く、恐る恐るゆっくりと扉を開いていきます。
キィーッと不気味な音がたち、扉が開かれるとすぐに、ルナは光の魔法を唱えました。なぜなら塔の中には、一切の光が無かったからです。
「そういえば聞いたことがあるぜ。この塔に住む魔女は、闇が好きで光が嫌いってーーー」
「その通り」
フレイがそう呟いたそのとき、塔の奥から突然声が聞こえてきました。そして人影が現れたかと思うと、それはどんどん近付いてきて…
「ようこそ魔女の住みかへ、春夏秋冬の女王の子供たちよ」
4人の前に、一人の魔女が姿を現したのです。
「お、お母様はどこ?!お母様を返して!!」
恐ろしさで声を震わせながらも、ルナは果敢に叫びます。そんな彼らの様子を見て笑いながら魔女は言いました。
「うふふ、この先へは行かせませんよ。私は冬が大好きなのです。嫌な大陽は厚い雲に覆われて、みな寒さに震えながら過ごすこの季節が!」
「だ、だからお母様を…ゆるせない!季節は春夏秋冬が巡るからこそ素晴らしいの!ずーっと冬だけなんてダメなのよ!!」
ルナはそう魔女に言い放つと、魔法の光を強く輝かせました。
するとその光に、闇を好む魔女はひるんだのです。
そのチャンスを、フレイも見逃しません。
「リーフ、風だ!風を放て!!」
「え?あっ、うん!!風さん、僕に力を貸して!!」
その言葉と共に、強い風がビュオーッと魔女に向かいます。そして今度はフレイの出番でした。
「大陽のように燃える炎を!!」
強い風に乗って、フレイの魔法が魔女に向かいます。
「なっ!ギャーーーーーッ」
魔女はまともに魔法を受けて、その場に膝を付きました。ですがさすがは相手も魔女、何とか立ち上がり魔法を唱えようと必死です。
「あと少しだ!ローズ、お前の力を貸してくれ!」
フレイの叫びに、ローズはビクッとなりました。
みんながローズを見ています。
(私もまた、みんなの力になれるの?ーーーやらなきゃ!!)
「悪い魔女さんーーー凍って下さい!!」
その言葉と共に、ピキピキと音を立てて魔女が足元から凍り始めました。
こうして数十秒後、とうとう魔女は氷に覆われたのでした。