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【図書館戦争】2000文字

作者: とーよー


僕は本が好きだ。


しかし、図書館はあまり好きではない。


理由は静かにしなければならないからである。


図書館で喋る奴がいても良いじゃないか!熱唱するキャラクター奴がいたって良いじゃないか!机の上でダンスをしたって良いじゃないか!ゲームをしたって良いじゃないか!エロ本専用の本棚があったって良いじゃないか!!横になってお菓子を食べながら本を読むキャラクターがいたって良いじゃないか!!……という気持ちが頂点に達し、僕は大声で叫んだ。


「全員!話せぇぇえええ!」と。


すると、係員が駆け付け「図書館内ではお静かにお願いします」と、お願いして来たので、そんなお願い聞いてられるかという思いで、そいつを無視して、机に登り、更に大声で叫んでやった。


「全員、世間の風潮に染まるな!」と。


すると、いよいよ、警備員までもがやって来たので「なんだオマエラは。警備員のクセに。警察と違って執行能力はないから、僕を逮捕する事も出来ないクセに」と言って、警備員の帽子を取って、遠くに投げ捨て「取ってこい!」と、言った。それから、改めて、机の上に登り直し、再び大声で、わめき散らした。


「いいか!オマエラ!よく聞け!!僕は本が好きだ!図書館が好きだ!そして、オマエラもみんな図書館が好きで本が好きなのは分かる。だから、この場所にやって来たんだろう。しかし!なんだ!その雰囲気は!!なーーにを恐縮して、他人行儀な感じで、それぞれが、それぞれにヒッソリと本を読んでいる!!今はそんな事をしている段階ではない!時代も動いている!僕達は仲間じゃないのか!本が好きだという共通認識がある時点で十分仲間と呼べる関係性ではないのか!!あの本が好き、あの本は好きじゃない、なんて事をテーマに、みんなで盛り上げていけば良いではないか!!僕は日本中の図書館を旅して回って来たが、何処もかしこも『図書館内ではお静かにしましょう。それがマナーです』といった風潮で統一されているこの常識。この間違った常識を僕は変えてゆきたいと思っている!!……いや……変えるべきだ!!僕達は同じ読書仲間であり、運命的なブックファミリーなのだから、本についての本音をぶつけ合わせていけば良いのである!なぜ、逃げる!みんながみんなに背を向け、1人1人、個別に本を読む、古典的な読書スタイルをまっとうしていこうといった取り組み意識を今こそ改善させる時ではないのか!!その第1歩として、まずは、僕は、今から、この図書館内では喋るというルールを浸透させてゆきたいと思う!!着いて来るものがいれば着いて来ーーーーい!!!」


……結果から言おう。


……誰も着いては来なかった。


職員にコッソリ通報され、2人の警官が図書館に入って来た。


直ぐ様、僕は、近くで科学の本を読んでいたポニーテール女の後ろに回り込み、首に手を掛け、ソイツが机に置いていたコンパスの針を首筋に当てて叫んだ。「それ以上、近寄るな!!」と。


それで、警官は「分かった。分かった」と、その場で一旦止まったが「大丈夫さ」や「何も心配する事はない」や「話を聞きたいだけだ」や「オマエにもオフクロさんがいるんだろ」等と、言いながら、知らず知らずのうちに距離を詰めて来たので「何気なく、油断させながら、少しずつ近付く作戦とか使ってんじゃねーよ!!」と言って、女の太股をコンパスでブスブスと刺してやった。


女は「ギャーーー!!」と言って「ウギャーーー!!」と言った。それがマッハで2~3回続いた。


警官は「ああ!!分かった!すまない!すまなかったから話を聞いてくれ!」と、更に近付こうとして来たので「だから!距離を詰めるなっつてんだよぉ~!!一瞬の隙を見計らって僕を取り押さえよう作戦が通用しそうな距離に入るなぁぁあああーーー!!!!!!」と、言って、逆の女の太股を(ブス!ブス!ブス!ブス!ブス!ブス!)と、更に6回突き刺してやった。


そこで、ようやく、警官はそれなりの距離を取り、話すようになった。


しかし、話す事は何もない。


僕はテロリストでもなければ強盗でもない。ただ、今現代の図書館内に置ける間違った風潮を変えようとしているだけの男だ。世間を縛り付ける暗黙のルールにメスを入れてみただけの革命児だ。僕がそんな事を考えている隙に、警官の人数が2人から5人に増えていたので、僕は怒鳴りつけた。


「ふざけた真似してんじゃねー!!!3人も追加してんじゃねーよ!!!」(ブス!ブス!ブス!)と、僕はコンパスで女の腹を刺した。


「きゃーー!!私の赤ちゃんがあああ!!!」


どうやら女の腹には赤ちゃんがいたらしい。妊娠していたらしい。知るか。ボケナス。ばかたれ。勝手に警官が仲間を呼んだからいけないんだ。コイツラがいけないんだ。恨むならコイツラを恨め。


……なんて事を考えている隙に僕は取り押さえられてしまった。


ありゃりゃ。こりゃりゃ。これにて革命おしまいです。



            ~END~



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