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~アフターシンフォニー~ ~マリアージュには早すぎる~




「ねー、魔王。わたし達、つきあってるんだよね?」


「――ああ」



恋愛ドラマの真似をして問いかけると、魔王は、書類をさらさら、と書きながら答えた。


最近、魔王がマンガみたいに、いつも豪華なイスにふんぞりかえってダラダラしているわけじゃなく、地道なデスクワークをしてることを最近知った。

……ちょっと驚いた。


「わたしは、魔王の花嫁なんだよね?」


「――そうだ」

さらさら。


「……じゃーなんで、キスとか、してくれないの?」

クッションを抱きしめ、ジト目をする。



「――魔王は、今年で五百才だ」


「……うん」


唐突とうとつな発言だけど、いつものことなので別に驚かず、わたしはうなずく。


「……魔王にとっては百才の人間ですら、赤子に等しい」


「うん……ん?」


なんか、嫌な予感がしてきた。



「だから、私は、おまえが育つのを、待つことにした」


「えーっ! わたし、おばあちゃんになっちゃうよ!」


「――うんうん。だから、私はおまえがおまえの所属する世界、国の基準でいうところの、“せいじん”まで待つことにしたのだ」


「それって……永遠音を大人にしてくれないってこと?!」


ぶーっととふくれっつらして、 魔王をにらむ。


「なにを言っているのだ。私にとっておまえはひな、いや卵に等しいのだぞ。おまえがまともに育つまで、食指しょくしがわかん」



(……ま、魔王って……!!)


(古典的! 旧世代的! ぺきん原人!! 古代遺跡のオーパーツなみ!!)



いっそうぷりぷりとして、魔王の代わりに、クッションを足蹴あしげにしていると、


「なにを怒っているのだ? 挙式はしないほうがいいのか? 式場は城でないほうがいいのか? ハネムーンは異世界派か?」


なんてしきりにズレたことをいうので、わたしは言ってやった。



「――魔王なんてもう、大きらい!!!」


しんじゃえ!! と、わたしは魔王の顔に、ぺしん!! と渾身こんしんのいちげきを放ったのだった。





――結論。

魔王はド天然の、あほあほ朴念仁ぼくねんじん

つきあうと、とても疲れる。


あんまり調子のってたら、今度、スノゥに頼んで、実家に帰ってやろう!


そんな風に決めた、ある日の午後なのでした。



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