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SHADOW2:発覚と同時に訪れる憂鬱

いきなり大ポカやってしまいました。SHADOW1のタイトル、全く関連性のないものになってしまいました。本当に申し訳ありませんm(_ _)m

人が死んだ、という。

それを典薬(てんやく) 神楽(かぐら)が知ったのは、学校に登校してからだった。

「ねェ、典薬くん……聞いた?」


「ん、一応、な。詳しくは知らないケド、事実ぐらいは」

教室に入って席に着くなり神楽に話しかけてきたのは、隣の席の女生徒、輪廻(まわり) (みこと)

別段親しい訳ではない。

ただ席が隣同士というだけで、たまに話をする程度の仲だ。

聞いた、というのは、神丸学園の中等部で起こった殺人事件の事だ。

今朝の午前五時半、朝早くに出勤してきた教師が第一発見者。

現場は特別校舎にある第二美術室で、殺されたのは絵画愛好会会長の音菜(おとな) 舞夏(まいか)という女生徒だそうだ。

生徒には極秘しているらしいが、情報は洩れるもの。凶器は、家庭科室の包丁らしい。

「朝学校に来て、警察が見回ってるのを見た時は正直驚いたよ」


「うん、私も……」

、力なく返事した。何故かやたらと暗い。

「……輪廻、元気ないな」


「うん……だって、私、美術部だし……」


「あ、そっか」

この神丸学園の中等部には、芸術系の部活は大きく分けて三つある。

美術、音楽、書道だ。

その内の美術関係だけでも『絵画愛好会』、『彫像愛好会』、『美術文化研究会』の三つに分かれている。

そしてそれらを総括しているのが命が入部している『美術部』。

この『美術部』が万能的に活動する本家とすると、『絵画愛好会』等はそれぞれの専門職をもって分岐した宗家といった感じだろう。


ちなみに余談になるが、この神丸学園では目的は同一だが活動が違う場合は、部活を創設できたとしても『会』から『部』に格上げされる事はなく、結果、部費の割り当てが芳しくないというのが現状だそうだ。


「親しかったの、その先輩とは?」




「そこまでは……ただ、音菜先輩の描く絵はとても綺麗で、私は好きだったの」

当たり障りのない平凡な絵だったから、入賞とかは出来なかったみたいだけど、と輪廻は付け加えた。

その表情には、僅かな陰が差している。

何となく、重苦しい沈黙が流れ始めた時、教室のスピーカーから放送が入った。

『一年生は終了しました。

これより、二年生の事情聴取を始めます。

クラス順に、速やかに応接室に来て下さい』放送が途絶え、教室全体に緊張が走る。

「次は二年か……気が重いな」


「……うん」

学校に来てスグに始まったのは、事情聴取。

朝っぱらからこれでは気が滅入る。

だが行かない訳にもいかないので、神楽は重いため息を盛大に吐き出した。

クラスが九組でよかった、と心底思う。

嫌な事は、少しでも先延ばしたかった――。

正味な話、あの取り調べは意味がなかったんじゃないかと神楽は学園内の通学路を歩きながら思った。

質問の内容は、『午前零時に何をしていたか』。

これではむしろ、アリバイを成立させる方が難しいではないか。神楽は

「寝ていました」

と答える他なく、アリバイ成立が出来なかった。

つまり、警察からしたら容疑者の一人と見なされた訳だ。

これで犯人扱いされたら給ったもんじゃない。

「こうして臨時休校になったからって遊ぶ気にもなれないし……どうしたもんかね……」

切実な悩みである。

ドラマやマンガではこうして冴えない男が刑事の真似事をして事件を解決するものだが、神楽にその気はまるでない。

何というか、逆に仏さんに失礼だろとすら思う。

被害者が仏教徒かどうかは知らないが。

「……寝るか」

心身共に疲れているのだろうか、非常に瞼が重い。

神楽はさっさと帰ってとっとと寝る事にした。

彼は知らない。数時間後に、事件に足を突っ込む事になるなんて――。

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