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第三十五話:翔VS蜻蛉

 パーティー会場でこれでもかというほど暴れてるおかげか、テーブルや椅子を破壊するどころか、壁までに皹どころか穴まであけて翔と蜻蛉は肉弾戦を繰り広げる。


 ケンカはタイマンにこだわる翔なので、今のところ紫月は参戦せずに風で自分の身を守りながら見物しているが、武術家として鍛練を積んできた蜻蛉に若干遅れ気味である。


 ただ、西天空太子として覚醒すれば互角以上の勝負にはなるのだろうけど。


「いっ!」


 翔は飛んで来るナイフを辛うじてかすりもせずに避けていた。秀が本気でナイフを投げて来るより破壊力は劣るものの、テーブルを軽く貫通して地面に深く突き刺さっているあたり、喰らえばただで済みそうにない。


 しかし、ナイフを投げた後、すぐに蜻蛉は翔に迫ってきて強烈な回し蹴りを叩き込んで来た!


「うわあっ!!」


 側頭部に叩き込まれるのを両腕でガードして止めたが、その重さに耐え切れず翔は壁まで弾き飛ばされる。


 そして、それを追い掛けるように蜻蛉も地を蹴って翔に突っ込んでいくが、翔が起こした風圧にスピードを緩められ、その一瞬に翔はストレートを繰り出した!


「オラアアッ!」

「翔君! 後ろ!!」


 紫月が叫んだ途端、後ろを向く隙などなく、翔はナイフの串刺しは上に飛んで避けたが、その直後目の前に現れた蜻蛉に蹴り飛ばされ地に叩き付けられた!


「うわぁっ!!」

「終わりだ」

「……!!」


 まずいと思ったとき、翔の目は一瞬黄金に輝き、爆発的な風を蜻蛉に叩き付けて彼を弾き飛ばした!


 紫月は一瞬、翔が覚醒するのではないかと意識を引きずられそうになったが、何とか翔が踏み止まってくれたお陰で彼女にも影響が及ぶことはなかった。


 二百代前の主従関係はこういった場面で特に影響されてしまうのだから……


「……速ぇ」


 丈夫過ぎる体と風を身に纏っておいたお陰で痛みと怪我はないが、人の百倍はタフな少年も少し息が上がっているようだ。力を常に使っている性でもあるが……


「風の使い手だというわりには遅いな、それに未熟」


 ピクリと翔に一つ青筋が浮かぶ。未熟というのは本人にもまだ自覚があるわけだが、天宮家一の身軽さを持つ翔にとって遅い、と言われることはなかなかショックだったりする。


「兄貴達に比べて未熟なのは認めてるけどさ……!」


 というより、あのレベルの戦い方は反則に近いものがあると思う。威圧しただけで敵は倒れるのだし……


 ただ、翔は翔なりの戦う理由とプライドはある。


「それでも引けない時もあるんだよな、紫月も取られちまうかもしれないのに」


 かもしれない、ということは確かに翔の言うとおりだと思い、紫月は蜻蛉に尋ねた。


「……私もあの馬鹿主のハーレムに含まれてるんでしょうか」

「未来のために連れて来いとは言われております」

「あくまでも未来ですか」


 紫月にも一つ青筋が浮かぶ。鷹族の主が巨乳好みだからと蜻蛉が言わなかったのだけは正解だっただろう。


 ただ、翔は紫月から感じる殺気に多少なりとも冷や汗を感じるが……


「ですが紫月殿、西天空太子に仕えられるよりははるかに高価な生活を約束されますが」

「料理も作れない環境なんてこちらから願い下げです」


 即答する理由が料理と答えてしまう自分が何となく情けない気がした。どうも、翔と付き合ってると受け答えのレベルまで彼と同等になってる気がする……


 ただ、蜻蛉は翔の元を離れるつもりはないと理解したのだろう、彼が紫月の元へ突っ込もうとした直後、目の前に翔が飛び出してきた!


「オラッ!!」


 先程より速くなったスピードに蜻蛉は驚きながらも、直撃を喰らうことはなく翔の拳は空を切る。その隙を狙って蜻蛉は彼の腕を掴もうとしたが、それは瞬時に残像へと変わった。


「なっ……!!」

「上だぁ!!」


 消えたと思った翔は風を使って瞬時に蜻蛉の上を取り、彼の肩に踵落しを決めた!


「ぐっ……!!」


 肩に入った重たい一撃に蜻蛉は眉間にシワを寄せたが、地上に着地するなりさらに突っ込んできた翔の攻撃は再度空を切ることとなった。


「……西天空太子」

「鷹族の馬鹿主に言っとけ! 紫月は俺の大切な奴なんだ! そう簡単に渡せるかよ!」

「翔君……」


 少しだけ紫月はときめく。大切な奴だと叫んでくれたことはとても嬉しい。それに渡したくないと言われるのも告白みたいな感じがする。


 しかし、あくまでも天然ストレート少年の発言だということを忘れてはならない。


「それに紫月がいなかったら俺の飯は誰が作るんだ!!」

「やっぱりそこですか!!」

「おわぁっ!!」


 紫月から蹴り放たれたかまいたちを翔は辛うじて避けた。ある意味、蜻蛉の攻撃よりよっぽど性質が悪いと思いながら……


 しかし、秀や純のように素直に好きだからというのも翔らしくはない。愛情表現に違いはあるが、あくまでも自分は龍に似ているところがあるのだから。


「危ないだろ! 紫月!!」

「翔君がまた人の料理ばかりあてにするからです!!」

「当たり前だろ!! 今日はバレンタインデーなんだから紫月のチョコレートを食いたいに決まってんだろ!」

「生チョコ食べたじゃないですか!」

「俺専用のが食いたいんだ! それだけは一生誰にもやらねぇ!」

「だから……!!」


 その告白としか聞こえない天然ストレートは何とかならないのか、もう少しこちらを動揺させない言い方があるのではないかと思うが、やはり翔には無理な話だろう。


「とにかく! 未来のためだろうが何だろうが、紫月をどっかの馬鹿なんかに渡してたまるか! てゆうか、紫月を守んのは二百代前から俺の役目なんだよ!」

「っつ……!!」


 もう降参だと白旗を上げたい気分になった。これほどはっきり宣言されて真っ赤にならない方がおかしい。それに今日はバレンタインデーなんだから本来はこういった行事ではあるのだけれど……


「そういうわけだから蜻蛉、俺はぜってぇ負けねぇからな!」


 いつになく、翔の目は爛々と輝いているのだった……




はい、またお待たせしましたm(__)m

お盆休みということで、沢山書けたらいいなとは思いますが……


最近、天空記の番外編が終了したらと次のネタも考えてるという……

まぁ、途中で投げ出してる未熟過ぎる頃の小説も最初からきちんと書きたいなとも思っていまして……


かといって、新ネタも考えてるという……

まぁ、若い?内にいろいろやろっかなっと(笑)


でも、しばらくはノクターンもありますので、天空記に集中ですね。

まずはこちらから終わらせなくちゃ。

では、次回もお楽しみに☆




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