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第二十九話:プライド

 オカマ街である意味いろんなダメージを受けつつも勝利した秀と啓吾は、出来るだけまともそうなオカマの一人を尋問して、ようやく巨大な細菌兵器が置かれていた地下室に辿り着いた。


 全長二メートルぐらいの機械にガラスケースに入った細菌が一体何なのか、その細菌名まではわからないが、とりあえず破壊しておかないわけにはいかないのだが……


「啓吾さん、折角だからこれで死んでみます?」

「ふざけんな!」


 いくら重力を操れようとも、そんなものを使われて無事でいられるわけがない。当然、天宮兄弟もこの類を受けて無事というわけにもいかないだろう。


「てか次男坊、破壊出来んのか」

「そうですね。僕が灼熱で塵にするのも一つの手ですが、折角ですから実験しましょうか」


 秀はコートのうちポケットから銀色のコンパクトケースを取り出し、その中から青色に発光している試験管タイプの注射器を選んだ。


 その他にも怪しそうな液体や啓吾でも知ってる毒薬があったが、そこにはつっこまないことにしておく。


「何だそれ……」

「細菌です。名前は啓吾君といいます。僕が開発した細菌なんですけど」

「おい……」

「まぁ、これでイケると思いますけどね」


 一応、啓吾君と名前を付けたぐらいですし、と絶対面白がって作ったに違いない細菌を秀は細菌兵器に注入すると、ガラスケースの中がみるみるうちに青く発光していく。


 どうやら、啓吾君は人体に有害な細菌を無害な細菌に変える働きを持つ代物らしいが、突然ガラスケースの中が何やら赤い霧状のものに変わり始める。


「おい、次男」


 尋ねる前に秀はパチンと指を鳴らし機械そのものを一気に消し炭へと変えた。おそらくこの高温だ、細菌自体も消えたのだろうが……


「はぁ……、やっぱり啓吾君ですよね。爪が甘かったみたいです」


 役立たずだったな、と言いたげな顔で啓吾を見て来るその顔に啓吾は上等だと言わんばかりにブチ切れた!!


「テメェ……! 本気で死ね!!」

「いいでしょう、燃やしてあげますよ!!」


 そして、オカマ街が完全に崩壊したことは言うまでもない……



 一方、闇の女神が地の理を生かすため、宿泊棟の外で鳳凰と戦闘を繰り広げていたが、それをもってしてでも息が上がっていたのは闇の女神の方だった。


「はぁ、はぁ……!!」


 白銀の大鎌を構えて鳳凰と対峙していたが、通常の肉弾戦は鳳凰の方が確実に上であり、ならばと闇の力を解放して闇が鳳凰を飲み込もうとしたが、それすらも届きはしなかったのだ。


 さすがにこのままでは、龍と合流する前にこちらがやられてしまうかと闇の女神は思うが、少しでも時間を稼がないわけにはいかなかった。


 少なくとも、今ここでやられてしまえば森にまで危害が及び、あの鷹族の馬鹿主を叩くチャンスが一つ潰されるには違いないのだから。


「闇の女神殿、それ以上の力の消耗はお体にも負担が掛かるはず」

「ふざけるな! 妾を愚弄するならその喉元を切り裂くぞ!」


 再び闇の女神は鳳凰に闇の力を放つが、彼は手にしていた宝刀であっさりとそれを切り裂いた。


 そう、彼に闇が届かない理由はその宝刀が力を切り裂くものだから。しかも、宝刀を奪おうにも彼の身のこなしがそれをさせてはくれない。

 つまり、どうあがいても闇の女神に勝ち目はないに等しいのだ。


「闇の女神殿、私は主にあなたを送り届けた後にもまだ任務があります。そろそろ御覚悟を」

「まだ言うか!!」

「……我等鷹族は主のために存在するもの。そして、主はあなたを手に入れ裏社会の権力も欲しています」


 鳳凰はその目を鷹のように赤く輝かせた。しかし、姿は鷹の化け物には変えず、ただ龍にも劣らない覇気だけを闇の女神に叩き付ける。


「闇の女神殿、大切な腹部を刺されたくなければ現代の姿に戻り投降してください」

「……!! 鳳凰……!! 貴様は本気で地に堕ちたか!!」

「あの時、鳥の女神殿を殺したときには堕ちました。今更、どのような汚名を受けようと構いません」


 本気だ、そう悟るには十分過ぎる目だった。そして、おそらくこの男は現代での自分の秘密を握っている……!!


「……鳳凰」

「はい」

「お前は……、本当は誰のために戦っている……」


 そう告げて闇の女神は現代の闇の女帝の姿に戻り、崩れ落ちそうになったところを鳳凰が支えた。それから一糸纏わぬ彼女にふわりと自分の衣を羽織らせる。


「……あなたは本当に彗眼でいらっしゃる。でも、守りたいものの為にプライドを捨てられるのは我々鷹族と変わりない」


 鳳凰は闇の女帝を横抱きにすると、宿泊棟の主の元へ彼女を献上するため、空間を裂いてその場から消えたのだった。



 一方、闇の女帝が鳳凰に敗れていた中、銃弾の嵐の中で生きていた森はと言えば……


「くそっ!! あいつら容赦なく撃って来やがって!!」

「うわあああああ!!」


 逆ギレとともに投げつけた手榴弾は敵を次々と吹き飛ばしていた。自衛隊といえども、問題行動ばかり起こして戦場によく突っ込んでいた森は実戦慣れし過ぎているため、銃弾の嵐の一つや二つは平然として切り抜けていたのである。


 しかし、なかなか上階に進めないことと、そろそろ出てくるであろう、化け物級をどう相手するかということも頭に過ぎっていたが……


「はぁ〜、こういう時に桜姫あたりでも出て来てくれれば楽に進めるんだけどなぁ」

「では、参りましょうか」

「へっ?」

「うぎゃああああ!!」


 突如聞こえてきた凛とした声と共に花びらが舞い散り、それは敵を一気に切り裂いた! そんな芸当をする人物はまさに彼女である。


「桜姫!」

「森将軍、しくじりましたね」

「はっ?」


 そして、桜姫は発信機の反応画面を森に見せた。そこにはこの宿泊棟の最上階に闇の女帝の反応が画面に映し出されていたのである。つまり、彼女は鳳凰に負けたと言うこと……


「鳳凰も彩帆殿のピアスが発信機だとは気付かなかったようで、潰してはいないみたいですが」

「そりゃ、本物のダイヤを発信機と見る方がおかしいだろうよ」


 森の言うことはごもっともで、闇の女帝はダイヤのピアスに発信機を埋め込むという荒業をやっていたのである。


 しかし、時は一刻を争うことは確かだ。鳳凰と戦って負けたと言うことは、おそらく力を使い切ってるということ。彼女も捕まったところで抵抗しないはずはないだろうが、男女の力の差はどうにもならないだろう。


「とにかく、森将軍はすぐに最上階に向かってください。分かってるとは思いますが……」

「……おい、まさかマジなのか?」

「ええ、そういうことです。私はここで戦わなければなりませんから」


 桜姫は花びらを纏い始めると、空間裂いていかにも森いわく化け物級の強さを誇るであろう、烏帽子が姿を表したのであった……




闇の女帝敗北!

さぁ、事は一刻を争う展開に!

果たして闇の女帝を救い出すのは一体誰になるのか!

そして、彼女が今抱えてる秘密とは!?


まぁ、もう一個の番外編を読まれてる方はあらかた予想はついてると思いますが……

でも、書いてるのが十八禁ですからね、読まれてない方はラストをお楽しみにと言うことで。


だけど、こんなピンチな状態の時にオカマ街でケンカしてる秀と啓吾兄さん……

せめて早く龍達と合流することを思い出してほしいな。

じゃないと、君達の彼女にだって危険は迫るんだぞ!?


でも、次回は桜姫のバトルをお楽しみ下さいませ☆




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