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第二十三話:迷う理由

 機密院から少しはなれた場所にクルーザーを一度停船させて、一行は殴り込み前の作戦会議を開くことになるのだが……


 無人島に建つ、何とも豪勢な建造物に呆気にとられたのは、決してあまりの豪華さに言葉が出なくなったからではない。理由はその建造物の名称にあるからだ。


「機密院ってどこが機密なんだよ……」


 啓吾のツッコミに一行がコクコクと頷いたのは仕方のないことだ。


 無人島ということで本州から離れており、近くを通る漁船もないために人目に触れることはそうないのだろうが、こんな夜にそこまでやるかというほど、様々な色の光りを放つ建物が機密という言葉を使うのはどうかと思う。


 一体、何故そこまできらびやかなのかと宮岡はパソコンで検索すれば、なるほど、ととりあえず納得した。


「政府黙認のリゾートホテルみたいだな。税金無駄遣いの娯楽施設でもあるが……、おっ、だけどこの宿泊名簿をマスコミ業界に売り付けたら、間違いなくぼろ儲けできるな」

「宮岡、その情報は妾が買う。送信しておけ」

「かしこまりました」


 闇の女帝に命じられ、宮岡は彼女の情報施設へと送信しておいた。


 だが、間違えた方向に走り出さないためにも、龍は適度なところで話を本題へと切り替えておくことにした。下手をすれば、情報ビジネスに走り出すのだから……


「宮岡先輩、内部の情報はありますか?」

「ああ、このメンバーからいくと、ここが本当の麻薬取引会場といった方が正解だな。むしろ、さっきのホテルは捨て駒を配置していたみたいだ」

「なるほど、警察の情報網も機密院には敵わないというわけか」


 土屋はひょいと肩を竦める。ただし、今から警察を出し抜いた者達を一斉検挙する気は満々だ。


 それは龍もまだ理解出来るのだが、翔は目をキラキラさせながら勝ち気な笑みを龍に向けて尋ねる。


「つまり、ホテルといっても悪の巣窟なんだろ? 破壊しても問題ないってことだよな?」

「何でもかんでもすぐ破壊に走るな!」

「そういう龍兄貴だっていつも人の倍は破壊してるじゃんか!」

「敵が攻撃して来るからだろう。それに俺は最初から破壊したくてしてるわけじゃない!」


 結果は一緒じゃないのかな、と末っ子組は首を傾げる。ただ、物理的な破壊だけではなく、目に見えないものまで破壊するメンバーはと言えば……


「へぇ、日本防衛事務所特別監察官。政府にこんなわけの分からない役職があって国民の税金を無駄遣いし、挙げ句の果てには麻薬でぼろ儲けですか」

「天宮秀、そっちはお前にやるからこっちは妾に寄越せ」

「そちらは日本薬品協会名誉会長ですか。またたんまり溜め込んでそうな顔ですね」

「それだけじゃないぞ、秀君。海外の美女がお好きみたいで毎晩淫らな宴を開いてるみたいだ。おっ、闇の女帝も目の付け所がよろしいですね。総資産推定六百億です」


 秀と宮岡、そして闇の女帝は宿泊名簿の個人情報を洗い出し、間違いなく彼等を脅迫するための材料を集めていた。


 いつもなら紫月もその会話に加わるところだが、さすがに数百億単位には手を出さないことにしているため、今日は大人しくしている。


「だけど、ここが麻薬会場なら、やっぱり末っ子組には危険かな」

「大丈夫だよ、龍兄さん。僕がちゃんと夢華ちゃんを守るから!」

「私も大丈夫です! 悪い人なんてやっつけちゃうもん!」


 そう真っすぐ見上げてくる目に龍は弱い。二人の頭を撫でてなりながら戦闘許可を出す。


 だが、そんな真っすぐ育っているはずの末っ子組に悪影響を及ぼしている森は、ホテルの脇に見える怪しげなピンク色の街に興味津々だった。


「だけど、あのピンクのネオン街はそそるもんがあるよなぁ」

「構わん、お前一人で行ってこい」

「何でだ? 良だって男なら飛び込みたいだろう?」


 彼女がいないもの同士という、森と同類にされることがまさに不名誉なくくりに入れられている宮岡は、パソコン画面とにらめっこしながらもきっぱり答えた。


「悪いが俺はノーマルだからな。同性愛者を差別はしないが、身ぐるみ剥がされるオカマバーで愛を求めるつもりはない」

「だが良二、世の中の女性に嫌われても、オカマには愛されるかもしれないから、森にはいいハーレムになるんじゃないか?」

「それもそうだな」

「淳っ! 良っ!」


 そんなの俺だって御免だ!と森が吠えれば爆笑が起こる。土屋は末っ子組にそういうことだから絶対近寄らないように、と強く忠告すれば、末っ子組は元気良く返事した。


 ただ、オカマバーと聞いて顔を引き攣らせている啓吾に紗枝は気付く。


「ある意味、一番近付かない方がいいのは啓吾かもね」

「……、次男坊よりそっちの人種には好かれる自信があるけどな」

「いいじゃないですか、羨ましいな」

「シバくぞ次男坊!」


 そして、また一行は賑やかになる。こうなってしまえばもう止めることは出来ず、龍はいつものように諦めて深い溜息を吐く。そんな主に気付くのは桜姫だけだ。


「桜姫、悪いが重要事項だけまとめてくれるか……」

「はい……」


 いつものことながら気苦労を背負い込みそうな主に、桜姫は重要なことだけを話しておくことにした。


「簡単にまとめますと、機密院には鳳凰率いる鷹の集団を始め、各国の麻薬組織やマフィアなどの武装集団が集まっていることは事実です。

 鷹族の暗愚な主がどの位置にいるかまでは掴めませんが、これほどの施設、一度沙南様と離れてしまったら再び見える時間が掛かることは御忘れなきよう」


 破壊すれば別かもしれないが、と桜姫は続けなかった。からかいたい気持ちは秀達と同等だが、龍をこんな時まで困らせるつもりはない。


 それに、彼女も二百代前の天空王と鳳凰の仲もやりとりも知ってはいるのだから……


「桜姫」

「はい」

「鳳凰は記憶を失っていると思うか?」

「……催眠にかけられているならば分かりませんけど」


 やっぱり鳳凰のことを気にしているのかと桜姫は思う。


 鳳凰がかなりの武人であったこと、光帝に忠誠を誓い、その娘であった沙南姫を鷹族の主のために差し出そうと考えているなどと思いたくはないのだろう。


「ですが主、例えどんなことがあろうと沙南様をお守りするのが主の役目。それを迷う理由などございません」


 二百代前に鳳凰に言われた言葉をまた桜姫に告げられる。確かにその通りだな、と龍は思い直した。自分は守りたいものを守ればいいのだと……


「じゃあ、そろそろあいつらを止めて叩きに行くか。桜姫のオレンジレアチーズケーキも食べたいしな」

「沙南様を食べる方が先では……」

「桜姫!」


 そして、一行は機密院へと殴り込むことになった。




さぁ、ついに機密院に突入!

一体どれだけのバトルとギャグ、そしてラブが繰り広げられるのでしょうか?


まずは機密院。

うん、豪華過ぎるリゾートホテルが機密院なんて確かにツッコミが入りそうですが、鷹族の暗愚な主と言われる理由が分かるかと。


でも、そんな施設にオカマバーまであるという……

啓吾兄さんの顔が引き攣る理由は紗枝さんのおっしゃるとおり……

うん、啓吾兄さんって女性だけじゃなく、オカマも引っ掛けそうな空気ですからね(笑)


そして、鳳凰のことを気にしている龍。

桜姫に沙南を守るようにと言われ、すべきことは決まったのですが……

やっぱり桜姫、彼女も秀達と同質なんですねぇ(笑)




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