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炉辺談話

4月某日


「ねぇねぇ、ちょっと聞いてよ。うちの下の子の1年生の担

任、あの畠中先生になったらしいよ。超ハズレだわ。」

「えー!畠中ってあのおばさん?残念ね~」

「ほんとよ、去年2年生だったから、ちょっと覚悟してたの

よね。だいたい、2年生の担任が1年生の担任になるじゃない。あの人、なんだかだらしないし、ヒステリックに叫んだりするから、幸子ちゃんなんかは、気持ち悪いって言っているのよ」

「2年生に気持ち悪いって言われるようじゃね…小さい子に嫌われるってよっぽどのことじゃない」

「うちの5年生は、新しく来た金子先生らしいわ」

「あ、あのメガネ?なんか調子こいてる感じする人でしょ?」

「なんだか雰囲気変わった人よね。でっかい黒縁メガネで初めはみんな怖がって様子をうかがってたみたいだけど、けっこう面白い人でもあるみたいね」

「実はまだ二〇代だってさ、見えなくない?」

「え?本当?もっと上かと思ってた。34,5だと思ってたわ。それくらいでも不思議じゃないよね」

「落ち着きがあるってことなんじゃないかしら?」

「私は三年生担任の柳先生が良かったな」

「えー、柳先生、俺、かっこいいオーラ出してるナルシストっぽくて気持ち悪くない?」

「でも、顔はまぁまぁかっこいいけどね」

「早見先生はかわいいんじゃない?若くてバリバリのサッカー少年って感じ。あーゆー感じって、子どもと年齢層近いからいいんじゃない?うちの子も、好きだって言ってたわよ」

「あれは、かわいいんじゃなくて、ガキなだけよ。先生には全然見えないわよ。4年生のお母さん方に聞いたら、けっこうひどいって話よ」

「佐藤先生もガツガツしてて、ちょっと付き合いにくそうだしね」

「佐藤先生と柳先生って付き合ってるんでしょ?」

「え、それ初耳」

「なんか、こないだPTAの関係で柳先生と話をしたんだけど、後ろで佐藤先生じっとこっち睨んできたのよ。狙ってないって!佐藤先生に言いたかったくらい」

「えー、なんか意外だったなぁ。佐藤先生って、もっと硬い感じの人が好きだと思ってた」

「先生だからさ、世間知らずで先生っぽくない人に惹かれるのよ」

「そう考えると、この学校の先生ってろくなのいないわね。大体、ちょっと若すぎなのよね」

「勘弁してほしいわね。うちの子、勉強できないし…ちゃんと教えてくれなさそうだから、塾とか入れようかしら?」

「やっぱり、6年生は岡部先生は安心よね」

「うーん、ちょっと暑苦しいところあるけど、子ども達も信頼してるみたいだし」

「やっぱりあれくらいの年代の男の先生に持ってもらいたい

わよね」

「校長に担任変えてくれ!って言ったら変わるかしら?」

「校長じゃだめだめ、教育委員会に直接電話したらいいのよ。

「教育委員会に電話するってモンスターペアレントっぽくない?」

「全然、今、けっこう電話する人多いのよ。うちの旦那の友

達が教育委員の人らしくて。教育委員会から、各学校の校長

に指示が出たりするから、結局校長先生って言っても支店長

みたいなもので、権限はそんなにないって言ってたらしいわ

よ」

「そうなんだ。私、校長先生ってすっごい偉いもんだと思ってた」

「こないだ、テレビで見たんだけど、まず匿名の電話を教育

委員会に入れるらしいのよ」

「それで?」

「匿名で、何年の担任を変えてくれって言うらしいのよ。配

慮もないし、子ども達からの信頼もないって言うの。その後

で、しっかりと名前を出して、変えてくれって頼みなおすの

よ」

「名前出したら、めんどくさいことになるんじゃない?」

「そこは、名前を出さないで下さい、とか言えば、個人情報

保護だとかなんとかで、どうとでもなるらしいわ。その時に、

私一人の意見じゃなくて、みんな言ってますよ!って言うの

がポイントらしいわ」

「なんか嘘くさくない?」

「いいのよ。とりあえずそういう話が出たら、教育委員会か

ら校長に話が出て、その先生に注意が行くらしいの。それで、

結局やめて新しい人がくるってことも多いらしいわ」

「あ、去年いなくなった高橋先生ってそういう感じ?高橋先生、うちの学校まだ4年くらいしかいなかったわよ」

「らしいわよ。なんか、田辺さん達、すっごい高橋先生嫌が

ってたもんね。飲み会に来ても、高橋先生ってお酒飲まない

でウーロン茶らしくて、酔っぱらった田辺さんが、『お前男だ

ろ!』ってガンガン文句言ってたらしいわ。本人にはもちろ

ん、校長とかにもさんざん話してたみたいよ」

「えー、そんなことで担任って変えることってできるのかしら?私もやってみようかしら?畠中先生はちょっと勘弁だわ」

「じゃあ、とりあえず匿名メールでも送ってみる?」

「フリーのアドレスとれば、バレないんじゃない?私、その辺わかるから、ちょっとやってみようかしら?」

「結局、子どもの為よね。あの先生じゃ、うちの子かわいそうよ」

「あ、もうこんな時間!武が帰ってくるわ」

「じゃあ、そろそろ今日はお開きにしましょうか。今日のお菓子代、一人三百円ね」

「はーい」


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