第4話 鏡は武器ではありません。
「ぽかぽかして
気持ちいいねぇ」
昼げを終えたトミは、
昼寝することにした。
その時だった。
役人らしい来客が、
トミのもとへ現れた。
「貴様何者だ?」
「ん?
通りすがりの婆ァだよ?」
「ここで何をしている?」
「日向ぼっこに
決まってるべ」
ズシン!
「おっと、
地震かえ?」
トミは、ゆっくりと
地面に手をついた。
……横揺れじゃないね。
「揺れ方が、
よろしくないねぇ」
役人が、はっとして叫ぶ。
「ち、違う!
魔獣だ――!」
「……ああ、
足音かい」
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その頃町では――
カァァン!カァァン!
非常事態を告げる
鐘が鳴り響く。
「騎士団、前へ!」
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「まったく……
ここは寝床だし、
魚もいるし、
落ち着かんねぇ」
魔獣が姿を現した。
「ほぅ、
どデカい図体だのぅ」
言いながら、
トミはポシェットから
手鏡を取り出した。
「おいたは、
ほどほどにしときんさい」
ぴかっ!
手鏡で反射させた光が、
魔獣の目を焼いた。
「ウォオオォオ!」
雄叫びと共に逃げていく。
「埋もれたら、
空から見つけやすく
するもんだけど…」
鏡を覗き込んで、
髪を直す。
「こんな使い方も
あるんだねぇ」
「ご老人、今の技は?」
役人の口調が変わる。
チートなし、
魔法なし。
「なぁに、
お天道様の光を
あてただけだよ」
もう一度、
鏡を見る。
「持っていきんさい」
「え?こんな高価な魔道具を?」
「まど…?
私ァ、まだあるからね、
持っておいき」
ファンデのコンパクトの
鏡を見せる。
「魔道具が2つ…だと…?」
役人はよく分からないまま、
手鏡を受け取ると
帰っていった。
「さて、静かになったね。
昼寝の続きをするべ」




