第2話 330円あれば火はおこせる
どこかで、鳥が鳴いている。
「ふあ〜、よく寝た」
トミは軽く背伸びをした。
まずは朝げかね。
腹が減っては、ろくな判断はできない。
あの魚は、焼けば食べられそうだ。
……生は、やめとこうね。
じゃあ、
火をおこそうか。
トミは空を見上げた。
「あの太陽は使えそうだね」
リュックの中を探る。
メモ帳、油性サインペン、ルーペ。
メモ帳の端を、
サインペンで塗ると、
黒く塗った部分に、
ルーペをかざす。
……じっと、待つ。
ふっ、と、
細い煙が立った。
「……うん、いけるね」
……火は、確保できた。
次は魚か。
リュックからフォークを取り出して、
試しに投げてみる。
「せいっ!」
ぷすっ。
……刺さった。
「あんれまぁ」
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魚に火が通るにつれて、
川辺の空気が、少しずつ変わっていく。
ぱち、と
脂がはぜる音。
ふわりと、
芳ばしい匂いが立ちのぼった。
……これは、
腹が減る匂いだね。
トミは、魚をひっくり返した。
皮が、きつね色に変わっていく。
焼き過ぎると、身が固くなる。
火から少しだけ離した。
トミは、手を合わせる。
「いただきます」
魚は、熱かった。
身を食べ終えると、
トミは骨を、もう一度火にかけた。
じり、と
小さな音がする。
……カリッカリになるまでだね。
「これも、いただくよ」
噛むと、
小さく、ぱきりと音がした。
カルシウムは、大事だからね。
骨を捨てるのは、もったいない。
トミは、そう思っている。
再び、手を合わせた。
「ごちそうさま」




