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第11話 非常用持ち出し袋との再会

「魔女さんや、あんたさんの魔法で、好きな場所に穴…通路みたいなもんは作れるかい?」


「異空間接続ポイントですか?」


フォルテナが首を傾げる。


「異空間?

よう分からんけど、そうさね、これくらいの穴でいいんじゃけど…」


「できますが…一体どこに?」


「物は試しにって言うべ?

私の非常用持ち出し袋を取れればいいんじゃ」


「それは、またヒャッキンの遺物ですか?」


「うんにゃ、それは通販で買ったもんだよ」


「ツーハンという遺跡もあるんですか?」


「まあ、そんなもんさね」


この世界の誤解に慣れつつあるトミだった。


---


トミのコテージ――


「では、頭にその場所を強く念じてください。

できるだけ詳しく」


「ほい、こんなもんでいいかの?」


フォルテナはトミの額に手を当てると、呪文の詠唱を始める。


すると目の前にブラックホールのような穴ができた。


そしてその先には――トミ常備の非常用持ち出し袋が見えた。


「あんれまぁ、やってみるもんだねぇ」


ドラえも◯の引き出しよろしく、

その穴から非常用持ち出し袋をずるずると引っ張り出す。


「普通のリュックに見えますが……それがトミ・バーチャンが冒険者時代に遺跡の冒険へ行く時に使っていたリュックですか?」


「そんな大層なもんじゃないよ。

まあこれがないと、どうにも落ち着かんでの」


フォルテナの声に、他の冒険者が集まってきた。


「これがバーチャンの歴戦の……」


「そうなるのかの?

こりゃ災害で戦う時の為に備えるもんさね」


トミは、非常用持ち出し袋から、折りたたんだ肩紐がついたビニールの袋を取り出す。


「さて…水を汲みに行くかね」


「トミ・バーチャン、それは何だい?

普通のリュックとは違うね」


「ん?

これは、ウォーターリュックだよ。

皆は桶持って井戸いくべ?」


「ウォーターリュック?」


杖でトントンと地面を叩く。


「私ァ、これを持ってるからね、両手が塞がると危ねえべ?」


そういいながら、肩紐に両腕を通す。


「ほれ、こうすれば両手が空くべ?

これなら、片手で杖を持てるべ」


背負ったウォーターリュックを見せる。


「それにな、お前さん達は知ってるじゃろうが、リュックの方が重いもんを持てるじゃろ?」


「確かにそうだな」


冒険者たちは、うんうんと頷く。


「じゃから、力が弱い女子おなごや子供でも、重い水を運べるんじゃ」


「それも、古代文明の遺物かい?」


冒険者が、興味津々で身を乗り出す。


「そんな御大層なもんじゃないよ。

ただの防災グッズさね」


そう言うと、トミは杖をつきながら、しっかりした足取りで、井戸まで歩いて行った。

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