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お待たせいたしました”!
イザベラの命令通り二人がやってきたそこは王都だった。
ひっそりとした本館よりもよほどこちらの方が豪華絢爛で、侯爵家の名に相応しい。どうしてこれが別邸なのか不思議なぐらいだ。
だが、王都と言うと二人には思い出すことが山ほどある。だってそのすぐそばに奴隷館があるのだから。
「さ、お二人とも着きましたよ」
二人は馬車を降り、別邸へと足を踏み入れる。
「お待ちしておりました。イザベラ様付き奴隷のルーク様、エミリー様でお間違い無いでしょうか?」
執事らしき長老の男が二人を迎える。
「「はい」」
「お部屋へご案内いたします。どうぞこちらへ」
案内された部屋は一室。それでも主人が使うかと思われるほど綺麗な部屋だ。
二人は奴隷。勿論一室なのか文句を言ったりすることもない。
「お二人の行動予定表はイザベラ様から預かっております。そちらの机に置いておりますので後で目を通すようお願い致します。尚、本日の晩餐ですがドレスコードはフォーマルとなっております。二時間後、お迎えにあがります」
そう言って執事は一礼し、部屋を去って行く。
二人は荷物をソファーに起き、部屋の中を確かめる。
現状を確認せよと命令されたのだ。誇りはないか。備品に不備はないのかと言ったのをチェックする。
二人はソファーに戻る。
「バスルーム、および脱衣所問題なし。ルークはどうだった?」
「寝室およびリビングルームも問題なし。暖炉に異常も見受けられません」
二人は出る際にアデルから渡されたチェック項目に異常なしと書き、とりあえずソファーに座りゆっくりする。
「これでこの部屋はもう見る場所はないわ」
「そうだな」
二人は立ち上がり、久しぶりに王都の街を眺める。
「ここは久しぶりだわ。二年ぶりぐらいかしらね」
「俺は一ヶ月ぶりだからそこまで言うほどじゃないな」
奴隷館にいた頃、ここはこんな街だっただろうか。毎日のことなど全く覚えていない。鳥かごのような場所にいつもいた。それだけだ。
「さて、二時間後には夕食ね。それまでに荷物を片してしまいましょう」
「そうだな」
クローゼットに一週間分の服をしまい。フォーマルウェアに着替える。
教養を身につけろと言う命令があったがまさかこんなにも早く実践する機会があったとは驚きだ。
今日はもう、間違えは許されない。だってここには命令出来ているのだから。
二時間後、普段地は違いドレスアップをしたエミリーは見違える。
いつもはツインテールなのにその髪は下ろされ、綺麗に巻かれてある。
女はメイクをし、着る服が変わると印象がだいぶ違うな。
いつも主人であるイザベラ様は難なくこなしている。奴隷である俺もサクッとやらばければ。それが今、ここで俺とエミリーに課せられた使命なのだから。
そう意気込んでいたといのにエミリーは変わらない。普段とそう変わらない。今日あった出来事を話しながら軽く団欒をする。これが二年の差かと思い出さされた。
ご飯が終わり、一人一人風呂に入って二人はと寝るだけだ。明日からの予定ももう決まっている。
「電気消すわね」
「ああ」
二人は就寝に着く。王都で生活の幕開けだ。
次回投稿は明日昼頃予定です!