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奴隷生活  作者: 浅桐マオ
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2-2

お待たせいたしました!

「ルーク、こんにちは。今日はまずはじめにダンスレッスンをしましょう。と言うわけで服を着替えましょうか」

「はい」


どうして社交用の服が?と思ってはいたがこう言うことだったらしい。

イザベラ様はまずは教養を身につけなさいと命令をされた。その中にまさか社交ダンスまで含まれているとは思っていなかった。


「今日はこの衣装にしましょう」

選ばれた服は茶色のスーツだ。それを身につけ、ルークはレベッカとともにダンスホールへ向かう。

豪華な屋敷ではないが、ちゃんと社交ができる程度のホールはある。これでも一応この国の有力貴族なので滅多に開かれることはないが、ダンスホールぐらいある。


「さ、今日はこの曲ににしましょう」


約二時間、二人は踊る。屋敷のメイドの一人にピアノを弾いてもらいながら、ビシバシ鬼のようなレッスンだ。

ここに来てから一ヵ月、休日とレベッカが休みの日以外はずっと練習していたからか、大分腕は上達した。


「背筋を伸ばして」

「はい」

「もう少し力を抜いて、それではかたいわ」

「すみません」


しかしまだ一ヶ月。元が良かったのか伸びは早い。しかしレベッカから言わせるとまだまだと行ったような感じだ。


何も考えず、下を向いていた奴隷館時代が懐かしい。今では考えないと、失敗するのでそんなことはしてられない。

ワンツーステップ、なかなか体力がいり奥も深い。難しいが、習うのは良いな。なかなか興味深い。


「うん、ダンスレッスンはこれで終わりよ。少し休憩したら食堂にてカトラリーレッスンね」

「はい」


三時、ようやく終わりと思ったらまだまだルークの教養勉強は続く。


ケーキを食べるルークをエミリーは羨ましそうに見る。優雅にアフタヌーンティーと言ったところだろうか。そんな空気が流れている。

しかし実際は違う。


「ルーク、パンの食べ方が間違っていましてよ。そんなのは美しくありません。ほら、もう一度」

「はい」


一口サイズにちぎり、口の中にいれる。

今までの主人たちはこんなこと簡単そうにやっていたけど、ここまで難しいものだったとは。ルールが多い。


夕方、ようやくレッスンは終了しニ時間フリータイムとなる。

自室にて社交用の服を脱ぎ捨て、普段着に戻る。そしてすぐさまベッドにダイブだ。


「奴隷か」

ここにいると自分が何者か忘れそうだ。思考を持つことを許され、能力をつけさせてもらえる。まるで職業訓練所。いや、それ以上ではないか。

俺は恵まれている奴隷だな。

人間と変わらない扱いを受けているのだから。


夜、食堂へ向かいディナータイムだ。

メンバーはいつも決まっていて大体エミリーと二人か稀にアデルが加わるだけである。


「エミリー、他の使用人はいつ食事をしてるんだ?見ないなと思って」

ルークは不思議に思いエミリーに聞く。

「変なこと言うのね。私たちは奴隷なのよ。誰が好き好んで一緒に食べるのよ。元貴族のレベッカさんは特別だけど。あ、食べるのは私たちの監視を頼まれてるアデルぐらいか。ま、他の人は私達より早くご飯を食べてるよ。指定されてる時間が人間と奴隷で違うってこと」

彼女は当たり前のようにそう言う。それが当然って感じだ。顔が曇ることなど一ミリもない。

「なるほどな」


エミリーの言ったことは正しい。モノと一緒なんて嫌だろう。主人ならば気に入って買ったからそんなことを思わないかもしれないが、他の人から見れば気持ち悪いただ生きているだけのモノだ。


「うーん、昼もいいけど夜ご飯も美味しい。いくらでも食べれちゃう」

「だな。この肉、口の中でとろける。今日のこのメニュー、ビーフシチューだっけか?」

「そうだよ。私これ大好きなのよね。野菜もいつもより甘味が増している気がして」


その後、二人は普通だった。

貶され、下に見られようがそれが普通だと思っている。だから傷つくことなど知らない。それが奴隷なのだ。


ルーク 自室にて

シャワーを浴び、もう何も命令はない。あとは寝るだけである。


「ビーフシチュー、美味しかった。また食べよ」


彼は本当に監視されてると言われても何も気にしていなかった。それどころかもうそんなことを話したのさえ忘れている。それぐらい、当たり前で刷り込まれているのだから。


その頃 イザベラの書斎にて


「イザベラ様、ご報告いたします。ルーク、エミリー共に勤務に問題はございません。ただ、エミリーは私が以前から監視していたことをやはり知っていたようです。また他にも他の使用人が奴隷と人間を区別していたことも同様です。それを夕飯時ルークにエミリーが説明したようですが、何もなく普段通りでした」

「そう、報告ありがとう。アデル。そのまま今まで通り引き続き監視を宜しくね」

「はい、それでは失礼します」


ルークが来て一ヵ月。彼は表情豊かになった。感情も少しずつであるが取り戻しつつある。だが、奴隷意識は変わらない。


イザベラは椅子から立ち上がり、ランチの際にルークとエミリーが座っていたベンチを眺める。


「今回こそ、成功するかしら?先が楽しみね」


明日昼頃また投稿します!

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