1 はじまり
お待たせいたしました!!
俺は今日で十七になる。
この檻にはもう慣れた。
さ、今日俺を買うのはどんな人だろう。
薄暗くてジメジメしている。この空間が輝くのは客が来た時のみ。まだ、オープンしてあまり時間が経ってないからか人はやってこない。
そこへ突如光が刺す。
誰かの主人となる人がやってきたのだ。
だからと言って何も変わらない、俺たちは待つだけ。だって奴隷はモノであり、人ではない。命令されない限り何もしてはならない。感情を持つことさえ許されない存在なのだ。「無」でいなけれなならないのだから。
何も考えず、地面だけを見ているとしばらくして女がやってきた。
奴隷を買いにやってきた、お客様だ。
だが何も変わらない。俺たちは「モノ」なのだから。変わってはならないのだ。
「この子はどう言う子なのかしら」
女は俺の前で立ち止まり、そう言い放つ。
「はい、その者の名はルーク。女性からも男性からも皆から好かれる人気の性奴隷となっております。二年前に買っていただいたモノとまた違う魅力があり、当店自慢の品となっております」
「なるほど、良いわね。この子にするわ」
これで俺はまた無事に買われた。さ、今回の期間は?と思っているととんでもない言葉が聞こえた。
「一生よ。この奴隷の一生を買うわ」
彼女がそう言い放った瞬間、この人の奴隷として一生過ごすことが今日、決まった。即決即断だ。飽きられなければ生活が保障される。
主人が決まり、ルークはすぐ、檻から出された。
「お前はこれからゴトウィン女侯爵のものになるのだ。さ、湯浴みに行くぞ。そんな格好では送り出されないからな」
「はい」
いつもなら水浴びだと言うのに今日はお湯でしかもここは奴隷館の主か使うところだ。
これが最後だからだろうか。特別扱いだ。
ゆっくりしている暇はないので素早く湯浴みをし、言われた通りの服に袖を通す。
「それでは最後に、この鳥籠を存分に楽しむが良い」
スタッフにそう言われたルークは元いたところに戻る。
一生を買われた。今日で俺はここを卒業するのだ。これからはあの女性のモノだ。ゴトウィン女侯爵のモノになったのだからと言って何が変わるわけではないが。
その後すぐ、二人は奥から出てきて、ルークは再び鍵を開けられる。遂に旅立ちの時がやってきたのだ。
「今日からこの方がお前のご主人様だ。可愛がってもらうんだぞ」
「はい」
最後に奴隷館の主人に頭を撫でられ、可愛がられて、ルークは外に出る。
「それではルーク、行きますよ」
「はい、ご主人様」
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