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現実でも意外に多い死亡原因

追放されたジンは、 歴代勇者の痕跡をたどる!

https://hatuyuki-ku.com/?p=4566

 どんよりとした、重い雰囲気。


 明るい幼女が惨殺された後は、一行に会話らしい会話がない。


 より暗くなったが、今度は広く平らな道が続く……。


 先頭のフランソワーズは、隣を歩くアティーファに尋ねる。


「ここから、どういう場所があるの?」


「死んだ女王を柩(ひつぎ)ごと輿(こし)にのせて、大勢で下へ運んでいくのだろう。かなり深く潜るはずじゃ」


 納得したフランが、ふと気づく。


「階段で?」


「そうだな……。吹き抜けになっている縦穴をぐるりと回っていくはず」


 想像したフランは、げんなりした。


「輿で運ぶ連中は、よくやるね?」

「……死んだ女王も、いずれ復活する! 封印された区域は歴代の女王の住処だから、光栄なことだぞ!?」


 怒りをにじませたアティーファの反論に、フランは無言で首を振った。


 全員の足音だけが響き、前方の景色が変化する。


 ドアがありそうな出入口がポッカリと口を開けたままで、真の暗闇へ。


 立ち止まったフランは、緊張した顔に。


「ここを通れと?」


「妙だな……。こんな広さでは、輿が通れるわけない! 別の通路があるのか?」


 腕組みのアティーファは、ブツブツと呟く。


 ため息をついたフランが、断言する。


「秘密の通路があるにせよ、僕たちには時間がない! 先行して、様子を確かめてくる!」


 アティーファは、考え込んだまま、片手を上げた。


 他の面々も、反対しない。



 ――10分後


 そわそわした教授の爺さんが、暗闇を覗き込む。


「マズいな……。我々も、行くべきか?」


「それじゃ、あの子が先に行った意味がありません!」


 助手の若い男に指摘され、爺さんはコクリと頷く。


「確かに……。だが、老い先短いワシなら――」

「その必要はないよ? わりと、厄介なトラップだったけど」


 暗闇から出てきたフランは、思わず退いた爺さんに構わず、スタスタと歩く。


 グループの手前で立ち止まり、ドアの形をした暗闇に振り返った。


「かなり凶悪だ! 今から、説明するよ? 明かりのない部屋が続いていて――」


 ドアのない空間から入れば、有毒ガスらしきものが噴出している真っ暗な部屋。


 ただし、入った方向からまっすぐ進めば、同じくドアのない出口がある。


 距離は、10mあるかどうか……。


「いったん出られるけど、同じような部屋が3つほどあった! そこから先は通路だけど、心配するだろうから引き返した」


 腕組みした爺さんは、考察する。


「幼い君が無事だったなら、毒ガスとしても――」

「その考えは捨てて! 僕は、ある事情で耐毒だから!」


 珍しく真剣な声で、爺さんはまじまじと見つめた。


 そして、頷く。


「君を信じよう! 連続している部屋で、入口と出口が開いたまま……。おそらく、蓄積することで効果を発揮する遅効性だ! どう思う?」


「はい! 油断させておいて、閾値(いきち)を超えたら致死か動けなくなるはず……。もしくは、これも信仰心を試すだけ?」


 助手の男が答えれば、顔を見せないアティーファも付け加える。


「ここは、閉鎖空間……。復活した女王たちの住まいじゃ! 今度は間違いなく、侵入者を殺しにくるぞ? どれぐらいで致命的になるか、まったく分からん。他に構わず、ただ出口を目指せ! 幻覚作用などで精神を狂わしてくる恐れもある」


 誰もが緊張したが、先を進むしかない。


 フランがドアの暗闇に飛び込めば、アティーファも続いた。


 教授と助手も、迷わずに走っていく。



 3つのガストラップを潜り抜けて、その度に息を止めていた一行は、荒い呼吸だ。


 死の恐怖は、思っている以上に消耗させる。


 ホッとした全員に、フランが気づく。


「オタクっぽい男は?」


 いない。


 慌てる一行は、最後尾にいた女ガイドを見つめた。


 両手を前に突き出した若い女は、無意識に後ずさる。


「し、知りませんよ? 私のせいですか!? なら、探しに行きます」


 引き返そうとした女ガイドは、フランに片腕をつかまれた。


「今から戻れば、お前も死ぬよ?」


 沈黙。


 息を吐いた爺さんは、気まずそうに告げる。


「そうだな……。君まで死ぬ必要はない!」


 幼女が犠牲になった件で怒鳴ったことを悔やんでいるらしい。


 くるりと背を向けた爺さんを見たフランは、女ガイドに尋ねる。


「他に用事でもあるの?」


「……いえ」


 間を空けた女ガイドは、切なそうな顔でドアの形をした暗闇を見つめる。


 誰もが、犠牲者を救えなかったことに反省していると感じた。


 フランは、リーダーとして宣言。


「下へ降りる階段があるはず! 休憩できる場所があれば、そこで少し休もう」


 ここは、ガスを吸い込む恐れが高い。


 それに気づいた一行は、フランに続いて早足だ。


 フランの隣を歩いているアティーファが、小声で尋ねる。


「あの女、どうする?」


「気づいたの?」


 意外だという顔のフランに、呆れたアティーファが教える。


「お主は、妾(わらわ)を何だと思っている? しかも、あれは有名なほうじゃ」


「そうだね……。僕も、帝国博物館の展示で見たよ! 何とでもなるけど、今は面倒かな?」


 肩をすくめたアティーファは、独り言のように呟く。


「お主が動かんのなら、どうしようもない! ま、妾にはどちらでもいいが?」


「許すと言った覚えは、ないよ?」


 フランの青紫の瞳と声音が、その意思を示す。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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