失恋したマリカちゃんを慰める女子会
追放されたジンは、 歴代勇者の痕跡をたどる!
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ララ・リーメルトは、ようやく笑顔になった。
自分の拠点で、マリカ・フォン・ミシャールと会えたからだ。
「いやー! マリカちゃん、大きくなったねえ? マジックソード学院で、気になる男子はいるの?」
お茶会のテーブルを囲み、定番の恋バナを始めたが――
「そいつは、行きずりのデカパイ女子を拾って、私から逃げたので」
「ブホッ!」
ティーカップを持っているララが、噴いた。
そして、優雅にティーカップを持つマリカは、静かに飲む。
「その前に、あいつの故郷への旅で一緒の部屋に泊まっていたんですけど。手を出してもらえなくて……」
「ああ、そお!」
ダラダラと汗をかいたララは、話の続きに困った。
息を吐いた聖女、リナ・ディ・ケームが、フォローする。
「その連れ去られたシャーロットは、私の親友です……。彼は瀕死の彼女をかばい、離脱してくれました」
沈鬱な声に、ララはさらに困る。
視線だけで、隣に座っている副隊長のナスターシャ・フィルスを見るも、首を横に振られた。
肩を上下させたマリカが、リナを見る。
「ティルに、緊急用の回復薬を持たせていたから……。あいつが出し惜しみや、失っていなければ、助かっているわよ? たぶんね?」
明るい顔になったリナが、声を上げる。
「本当ですか!? ありがとうございます!」
「……私は、あのデカパイでティルの全身をしごかれていると思い、全然ありがたくないけど」
辛辣な言い返しに、リナの顔が引きつった。
ため息をついたマリカは、本音を言う。
「あなたを苦しめても、意味はないから……。ティルがそのシャーロットにしゃぶりついていても、男のサガ! 気に食わないけど、恋人だったわけでも、婚約者だったわけでもない。……予想通り、王都にいるから、そのうち会える。あいつ、何を言い出すかしら?」
胸元のペンダントを開けて、ジッと見ているマリカ。
全員の注目を集めたまま、ぱちんと閉じた。
(((今、何を見ていたの?)))
気になるが、怖くて聞けない。
気を取り直したララは、質問する。
「マリカちゃん、聖女の護衛になったんだよね? この後は、どうするの?」
「アーデンティア帝国との戦争で聖女リナがティエリー王子と前線へ出るそうなので、その護衛に! 今から同性で探すのは、面倒なのでしょう」
まだ学生が最前線へ行くと聞いて、ララは顔をしかめた。
「そっか……。今回は、帝国の意図が分からず、あまりオススメしないけど」
「なぜ?」
リナのほうを見たララは、端的に教える。
「帝国の戦力が、少なすぎる! 新兵器を持ってきても……」
片手を振ったララは、話題を変える。
「エレメンタル騎士団が役に立てば、いいんだけどね? あいつら、貴族の名誉職になっているから……。聖女の立場では、どう思う?」
「精霊が目覚めた時には、現代文明が滅びるでしょう……。大地、水、火、風の四元素は、この世界の守護者! 人類による破壊や消費が増えすぎれば、淘汰するために驚異的な存在を生み出します」
リナの発言に、さっきとは違う意味で沈黙が訪れた。
ララは、慎重に答える。
「んん-! 君の考えは分かったけど、他所では言わないほうがいいよ? ムダに貴族を敵に回すから! 参考までに、どうなるの? でっかいモンスターが出てくるとか?」
首を横に振ったリナが、説明する。
「いえ……。選ばれた人間に、超常的な力が宿ります。風であれば、空を自由に飛び回るシルフとして」
「ちょっと、想像できないな! それだけなら、可愛いものじゃない?」
ララの指摘に、リナも首をかしげる。
「そう言われると……。私も、実際に見たわけではありません」
ナスターシャが、突っ込む。
「世界を滅ぼす存在を見ていたら、そもそも矛盾しますからね? でも、生まれ育った国には愛着があるのでは?」
悩んだリナは、おずおずと答える。
「これは予測ですが……。その選ばれし者は、超常的な力に見合った思考になると思います」
ナスターシャが、それに応じる。
「なるほど! この世界を守るために、私情で動かない兵士になると……。出現したのなら、どれだけ取り込めるか? でパワーバランスが変わりますね?」
呆れたマリカは、本来の話題へ。
「お話の途中ですが……。聖女リナは、あまり出歩けない身です! 王都の美味しいお店とか、楽しい話題でお願いしたく」
ララとナスターシャは、慌てて気遣う。
「ご、ごめん!」
「王都は騒がしくなりましたけど……。どこかで食事ぐらい、しましょうか?」
その後には、女子会らしい雰囲気に。
アーデンティア帝国との戦争で、彼女たちは全員が前線へ行く。
次に誰も欠けていない保証は、どこにもないのだ……。
ララは、マリカに尋ねる。
「そう言えば、気になる男子って?」
「……同じ学院にいて除籍になった、ティルです。魔法剣が使えないけど、身体強化の白兵戦なら教官の中でも上」
それに引っかかったナスターシャが、眉をひそめた。
「巨乳の女と、打撃が得意な男……。そのティルという男は、同年代ですか?」
「はい! 同じ学年でした」
マリカの答えに、首をひねったナスターシャ。
しかし、夜で酒の席だったこともあり、うろ覚え。
ティルと手合わせした可能性は、口に出さなかった。
過去作は、こちらです!
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