春風
中学生になった綾瀬いろは。部活動紹介で吹奏楽の演奏に心が打たれ吹奏楽に入りたいと思うが、心の底には剣道もやりたいという気持ちがあり、どっちに入るのか…
~四月~
道端に生えている桜の木から北風に乗って舞い降りる桜の花びら
制服越しでも感じる季節外れの肌寒い風
今日は私、綾瀬いろはの中学校生活一日目です。昨日は入学式で他校の人たちもいるから知っている人が少なくてすごく緊張したけど、無事に一日が終わった。
中学校生活一日は部活動紹介と自己紹介をする。今のところやりたい部活は剣道部かなと思っている。
おそらく剣道をやりたいという気持ちは変わらないだろう、そう思いながら桜の花びらが散っている通学路を歩いていた。
学校についた。私のクラスは一年六組だ。一日目だからテンションが高くなって早く来てしまったからか、クラスの人は誰もいない。困った、昨日は入学式だったから友達がいるのか確認していていなかったのは盲点だったな、特にやることがないから趣味の絵を描くことにした。
絵を描いていると、クラスの人たちが登校してきた。友達はいなさそうだしひたすらに絵を描くしかないと悲しさに浸っていた。
おそらく私がクラスについてから10分くらいたったのだろう。ひたすら絵を描いていた。
「りっちゃん~!」
突然私を呼ぶ声がした。聞こえたところを見てみると小1からの幼馴染の文月澪がいた。澪は顔がよく、ファッションセンスが神で兄弟の長女で両親が有名な音楽家でなかなか家にいないので弟妹の料理を作ったり、お世話をしているので女子力が高い。頭もまあまあ良く常にテスト90点以上の常連だ。そんな子が私と仲良くしてくれるのは奇跡といっても過言ではない。
「澪!?同じクラスなの!?知らなかったんだけど」
「同じクラスだよ~クラス発表の時気づかなかったの?」
どうやらうちのクラスには幼馴染がいたようだ。ちゃんと確認していなかったのは盲点だったな
「自分の名前だけ確認してから速攻帰ったけん、気づかなかった」
「いっちゃんは相変わらずだね、まあ中学にあがって変わっていないか心配したけどその必要はなかったみたいだね」
「まあ変に中学デビューしたら将来後悔するからね、そういう澪も変わっていなくて安心したよ」
「まあいっちゃんと同じ理由かな、一年間よろしくね!」
「うん、よろしくね」
そんなこんな一日が始まる。
チャイムがなって少し経った後に廊下からドタドタと足音が聞こえ、勢いよくドアが開く。寝癖が少しついた女の先生が入ってきた。おそらく寝坊して急いできたのだろう。
「す、すみません、遅れてしまいました。昨日も紹介しましたが私の名前は小池いちかです。六組の担任をやらせていただきます。よろしくお願いします。自己紹介は4時間目で詳しくします」
たしかうちの担任の先生の小池先生は吹奏楽部の顧問をしている。この情報は私の姉、せなお姉ちゃんが元吹奏楽部員でトロンボーンをしていたから知っているのだ。
一日目から遅刻するとは、大丈夫なのか心配だ。
こんな感じで朝の会が進み、部活動紹介が始まった。
ぶっちゃけ蓋を開けてみればちょっと渋いというか、なんというか、、楽しそうな感じがしないな、そう思いつつ部活動紹介を聞いていた。つぎは吹奏楽部か、どんな感じなのか見ものだな少しばかり期待していると、演奏が始まった途端勢いがすごくさっきの渋い感じの雰囲気が変わり、心には先輩たちが奏でる音楽が刻まれていく。
期待よりも何倍、何十倍、何百倍も超えた演奏を聞き、さっきまで絶対剣道部に入ろうとした気持ちが『吹奏楽部でわたしもこんな音楽を奏でたい』『みんなの心に響く演奏をしたい』と思うようになり、吹奏楽部の出番が終わった後もずっと音楽が頭の中にこびりつき、延々と流れていた。
気が付くと帰りの会をしていた。いつの間にとあっけにとられていると先生が話し始めた。
「今日の部活動紹介どうでしたか?わたしは吹奏楽部の顧問なので是非とも吹奏楽部に入ってもらってほしいですけどね。明日から仮入部期間が始まります、いろんな部活に行き、これからの自分のことを考えて入部してください。」
そうだった明日からから仮入部期間が始まるんだった。吹奏楽部であんな演奏をしたいと思っているけど、剣道部に入りたいという気持ちも心の底、微かに残っている。どうしたものか、とりあえず仮入部一日目は剣道部にいこう、そう気楽に考えていたが、
「仮入部が楽しみなのもわかりますが、同日学力診断テストがあります。しっかり勉強してテストに挑んで仮入部楽しんでください」
そうだった。明日から仮入部が始まるのと同日に学力診断テストがあるんだった。私は勉強が苦手、小学校の算数とか全然わかんないし、テストで55点を取ったことがある。
不安で仕方ないけど勉強の仕方がわかんないからどうしよう、そう悩みつつ挨拶をして帰ろうとした。
「いっちゃん待って~一緒に帰ろうよ」
「いいよ~」
ぼっち下校は回避できたのでよかった。今テストのことよりも仮入部どうしようという気持ちが勝っている。初日は吹奏楽か剣道か、別の日に行けばいいじゃんと思うかもしれないが、私は一日目でその部活に行くとその部活をやりたいと思うかもしれない。だから初日が大切だと思う。頭を悩ませていると澪が急いでやってきた。
「ごめん、いっちゃん。待たせちゃって、」
「別にいいよ。そういや仮入部どこいくの?」
澪はどうなんだろう。澪は唯一の弱点が運動が苦手という、運動能力を上げたいなら運動部に行きそうだが行くとしたらテニス部かバレーな気がする。
「うーん、まだ決めていないかなー」
意外だ。あの澪ならすぐに行きたい部活を決めそうだが、どの部活に行きたいか迷っているんだろう。
「いっちゃんはどうなの?」
「あー、私は今のところは剣道かな」
「やっぱりね、ずっと剣道部に入るって言ってたもんね」
「うん、まあ」
剣道といったものの吹奏楽にも行きたいが割合は、剣道:吹奏楽、6:4なんだよなあ。まあ剣道部に行くか、澪と帰りながら剣道部に行くと決めた。
「あ、わたしここだからまた明日!」
「あ、うん。またね」
家につき、明日の準備をいろいろして眠りについた。
次の日、昨日のテンションと打って変わって普段通りにおき、学校に登校し無事何もわからずテストが終わった。帰りの会がおわりすぐに剣道部に行こうと思った矢先。
「いっちゃん!吹奏楽行こ!吹奏楽!!」
「吹奏楽?私剣道に行きたいんだけど」
「えーそんなこと言わずに行こうよ!」
「んーわかったよ。」
澪が吹奏楽に行こうとは珍しい。澪のことだから楽器に興味ないと思っていた。押しには弱いので行くと言ってしまった。
音楽室につき始まるのを待っていると、部長らしき人が後ろに立ち話し始めた。
「ようこそ!吹奏楽部へ!吹奏楽部部長の遠坂あずさです!担当楽器はトランペットです!さっそく新入生歓迎として合奏を聞いてもらいます!ではどうぞ!」
剣道部に行くつもりだった気が演奏によって吹き飛ばされていった。わたしは決心した絶対吹奏楽部にはいると、
演奏にあっけにとられているといつの間にか演奏が終わっていた。
「どうでしたか?てことで次は楽器体験をしてもらいます。トランペット行きたい人ー」
「いっちゃん、トランペットいこ」
「うん」
「ふたりね。じゃあかんちゃん一年生案内してあげて!」
「了解!じゃあついてきてー」
「「はい」」
おそらく副部長?に案内されトランペットの人がいる教室に案内された。教室には先輩が三人とトランペットがたくさん置いてあった。
すると上靴が赤色の三年生の先輩が近づいてきて話しかけてきた。
「お、楽器体験?よろしくー!トランペットってしってる?」
「知ってます!私のお父さんがプロのトランぺッターなんです!」
「プロ!?すごいね、じゃあそこの君は知ってる?」
「あ、はい。よくCMとかで見かけます。」
「よし、知っているならいいかな!トランペットの持ち方なんだけど、右手の小指はここにひっかけて親指はここに支える。左手の薬指はこのトリガーっていうんだけどここにおいて親指もここにあるトリガーにおいてほかの指はこの中に入れる…そうそう!そんな感じ!」
「想像より重いな、音ってどう出すんですか?」
「あ、やべ、マウスピースで音出してみるの忘れてた!湊!ヘルプ!」
この先輩はドジなのだろうか、すこし心配になるが後ろで吹いていた男の先輩…湊先輩がため息をつきながらやってきた。
「はあ、藤田は相変わらずだな、うちの藤田がごめんねー。ちょっともらうねー。これはマウスピースと言ってここから音を鳴らすんだけど、唇を振動させてならすんだけどやってみて!」
そういわれてならそうと思っても思うようにならせずに頭を悩ませていた。
「うーん、むずいな。」
「まあ初めてだからなるひとって早々いないから大丈夫だよー!がんばれ!」
そういわれて頑張って鳴らしてみると、ついに音が鳴り感動してた
「おお!すごい!よし君もなっているね!さっそくトランペットを鳴らしてみよう!マウスピースをそこにつけて…よし!まずドレミファソラシドのドを鳴らしてみよう!ドはなにもおさずに…~♪こんな感じでやってみて!」
~♪音が鳴った。音を鳴らせた時の感動がは一生忘れないだろう。トランペット楽しい!
「そうそう!じゃあ次は…」
楽しくていろいろ吹いていたら時間がたっていてもう仮入部がおわる時間だった
「あ、もう時間だ。来てくれてありがとう!また来てね!」
帰り道、ずっと吹奏楽のことを考えていた。トランペットが楽しかった。
「いっちゃん、どうだった?吹奏楽部。楽しかった?」
「うん!!めっちゃ楽しかった!」
「よかったー。いっちゃんが剣道に行ってほしくなかったから誘ったんだけど楽しくなかったらどうしようかなって心配だったけど安心したよ。」
私は今後どうするか考えた。吹奏楽に入るか剣道に入るか…決めた
「決めた!私吹奏楽に入る!」
「吹奏楽に入るの!?ほんと!?」
「うん!!!私悩んでいたんだよね、吹奏楽に入るか剣道に入るか、私みんなの心に響くような音楽を奏でたい!って澪はどうすんの?」
「私も吹奏楽はいる!がんばろうね!」
「うん!!!」
澪も吹奏楽に入るらしい、安心する。澪と別れて家に帰った。
「お母さん!私吹奏楽はいる!だからこの入部届にサインして!」
今日の朝の会に渡された入部届。私は家に帰ってすぐに書いた。
「あら吹奏楽に入るの?いいわね吹奏楽部。頑張ってね」
お母さんにサインしてもらい安心して眠った。
月曜日の朝、担任の先生の小池先生に入部届を出した。
「綾瀬さん吹奏楽部に入るんですか?よろしくお願いしますね」
先生に受理していただき顧問の先生なのでもう一回小池先生に渡して私は晴れて吹奏楽部員になった。
~そうして私の吹奏楽部員としての一日が始まるのです!~