図書館-3
しばらく呆けていた。
そんなに時間は経って居ないと思う。
この図書館は、円形なのだろうか?
本棚は全て真っ直ぐに見えたが、気づかない程度に湾曲して居たのか?
とりあえず、僕がとりあえずのゴールに設定した灯りの正体は、スタート地点だったわけだ。
何もまともに考えられそうにない…
「とりあえず、飯だな!うん、そうしよう。」
考える事を放棄して、手紙に書いてあった左手奥にある昇降機を確認しに行った。
ソファの正面には壁がちゃんとある。
ソファから見える左右の状況は、ソファに座って背中側の壁に固定された本棚があって、通路を挟んで本棚が有り、通路・本棚・通路・壁という状況だ。
ソファから見える範囲では、向こう側の壁には本棚は無い。
正面の壁から左に目線を向けると、ソファからは見えなかったが、確かに壁に小さな扉が付いている。
おそらくあれが食事を運んでくる昇降機だろう。
反対側を確認すると、鋼鉄製の扉ともう2つ扉があった。
「奥にある扉がトイレと風呂かな…はぁ…」
ため息を吐いて、昇降機へ向かった。
小さな扉の左側に、昇降機の操作ボタンと紐で吊るされたメモ帳とペン、右側に食事の提供される時間が書いてあった。
・朝食7時、昼食12時、夕食18時
「窓も時計もないから、飯で時間を把握しろって事かな…?親切な事で…ハハッ」
思わず渇いた笑いがこぼれた。
小さな扉を開けて見ると、中にはプラスチックのトレイにパンとスープとフライドチキン、空のティーカップとフォーク、保温ポットが2つあった。
トレイをソファの方へ運び、食事に手をつけた。
スープとチキンは冷めてしまっていたが、とりあえずおかしな味はしていない。
ティーカップにコーヒーを注ぐと、湯気と共にコーヒーの香りが立ち上る。
一口飲んでその温かさに一息ついて、涙が止まらなくなった。
「何で僕がこんな目に…」