マンドレイクは役に立つ
…神木なんかになっちゃったらさ、気軽に竜騎士団に貸し出せないよね?
しかも勝手に庭に植えていいもんなの?そもそも根付いちゃうタイプのやつなの?移動式なの?
などなど…神木に対する疑問は湧き出て止まる事を知らないんだけど
「それよりもまず!竜騎士団の安全でしゅ!」
さっきのジャイアントムカデみたいなやつがまたくるかもしれないし、その時にまたみんな無事という保証はないのだから、何か先手を打っとくべきだ。
「結界の中に入れるにしても…人が多すぎましゅ」
人というかワイバーンあんなに家に入れるキャパはない。
…家畜飼ってないからそういう専門的な小屋みたいなのもない…はず?
「ナナしゃま…簡易結界だったらマンドレイク達で出来ましゅよ?」
「えぇ!?」
何それ!初聞きですけど!?
「マンドレイクには自衛本能でスキルの音波結界を張ることが出来るんでしゅ」
「え?それって人死ぬやつじゃないんでしゅか?」
あの抜いた時にぎゃー!!ってなるやつ…
「違いましゅよ。あれはれっきとした攻撃スキルでしゅから」
「ほう…」
「音波結界は防御スキルで、本来であれば自分達の生育場に貼られているものなんでしゅ。幻視作用もあるので、本来マンドレイクはなかなか見つからないんでしゅよ」
なるほどー。カモフラージュもばっちり結界なわけかぁ…
「ってなんでもっと早く言ってくれなかったでしゅか!?」
…そうすれば、経験値も使わず人間から遠のく事も無かったのに
「僕のとこに来た時にはマンドレイクに陣を描いてくれが第一声だったでしゅよ」
「・・・・でしゅね」
「てっきり進化条件が整ったマンドレイクを進化させる為だと思ったでしゅよ」
…そう言われればそうなっちゃいますよね〜
でもリフィさんはわかってたんじゃないんですかぁぁぁ???
ーハイー
何で教えてくれなかったんだよっ!
ーAIハ常ニ最善ヲ選択イタシマスー
リフィさんや、ちょっと今後の『最善』については話し合いが必要ですよ
ー私ノ最善ヲ変エルニハ、私ノシステム自体ヲ変エナクテハイケマセンネー
いや、それって絶対チュートリアルっしょ!!
やらないからなっ!!
ーチッー
はい!AIが舌打ちしましたー!!
ってそんな事は後でいいんだよっ!!!
「…マンドレイク達、竜騎士団のとこに結界張ってくれるでしゅか?」
『『ひー!』』
うん…多分Yesって返事なんだろうけど、さっきよりドヤ顔がすごくなってるし…
5本の神木は気持ち葉っぱがしょげてる気がする。
…意気揚々と進化したのに、手柄を持ってかれた的な感じなんだろうな。
すまんが5本の神木も後回し…というか出来れば直視したくないんだが…
「じゃあ竜騎士団に行くでしゅよ!」
今ならきっと毛むくじゃらじゃなくて、あの偉いっぽい冷静ロン毛イケメン(髪の毛爆ぜろ)と話が出来るはず!
あの夜営でも損なわれないサラサラキューティクル方法を結界の対価として教えてくれないだろうか…と真剣に悩むのであった。




