戦いの後…竜騎士団
突然何か外部の力によってジャイアントムカデとの戦闘が終了した。
勝利した戦いとはいえ怪我人がでなかったわけではないので、今は戦いの後処理を竜騎士団はしていた
団長のザークが1番傷が深く、ジャイアントムカデの毒の解毒もあり、現場の指揮は副団長のメディシアがしていた。
「…一体何が起きたのでしょうね」
ジャイアントムカデは本来であれば一個隊で戦うような相手ではなく、大規模な討伐部隊が組まれて戦うような相手である。それが複数現れた時点で部隊の壊滅はもちろんの事、守るべきフィース様の子供達の死も覚悟した。
だが蓋を開けてみれば、壊滅どころか死者すらいない。
しかも倒れたジャイアントムカデに外傷はほぼなく、素材として一級な状態で残っている。
こんな状態のジャイアントムカデなど見たことがない。
ならばこんな状況になった経緯というのはやはり気になるもので…
団長へ2匹目のジャイアントムカデが襲いかかろうとした瞬間
風を感じたのだ…
そもそもワイバーンに乗っての戦闘中なので風を感じて当たり前なのだが、突風のような風をまとう何かが自分の側をを横切った気がしたのだ。
その風を感じた直後にジャイアントムカデが倒れたので、何らかの関係があると思ったのだが…他の隊員に聞けばそんなものは感じなかったという…
「あれは何だったのか…」
自分の中の勘のようなものが、あれは無関係ではないと言っているのだ
「メディシア様〜!!ぼーっとされてどうしたんですか?」
「何度も声かけたんですよ!」
自分の考えに耽ってしまっていて部下達の声が聞こえてなかったらしい
「すまん。怪我人の手当てはすんだか?」
「はい、後はジャイアントムカデの処理なんですけど…」
ジャイアントムカデは外殻から血液、爪の先まで素材として優れた個体だ。これほど綺麗な死骸は普通市場に出回らない。
「一体いくらの値段がつくんだろうなぁ」
「1匹で国家予算ぐらいはありそうだ」
だが団員達はみな自分達がとどめを刺したと思っていないので…この素材の所有権が誰にあるのかどうすればよいのかとまどっているのである。
「ひとまず騎士団のマジックバックに保管しておこう」
この森に来るにあたり国から最大容量のマジックバックを持ってきていたのがよかった
もともと森の中でも焼け野原の部分だったので、魔物さえ片付ければあっという間に後処理は終わった。
しかし…それでなくても緊張感の続く長旅で団員達の疲労はピークに達している。
このまま夜営を続ければいつまたジャイアントムカデのような魔物に襲われるかもしれないという緊張感がずっと続き、精神をやられる者も出てくるだろう…帰ってくる気配のないリクト様を待ち続けるのはリスクが高すぎる。
「何とかあの結界内に入れて頂けるように交渉するしかないな…」
団長が怪我をしてる今、その役割は自分がするべきだとわかっている
…が、こちらを怪しんでいる5歳児にどうやって説明と理解をしてもらえばいいのか
…そもそも5歳児が結界を扱えるんだろうか?
「あの〜何か手伝いいりましゅか?」
こんな可愛い声の子供に恐れられないように…とはどうすればいいのか…
「ってナナ様!?」
ずっと結界内に見た存在が突然目の前に現れた!!
副団長のターン!放心状態!ミス!




