初陣じゃー! その2
玄関の真裏にあったそれは、某怪談話にでてきそうなつるべ井戸。
「しかもたっけぇーな、おぃ」
どう見てもレンガの組み上げが1m以上ある…
5歳児からすると…高さが身長と同じぐらいなので井戸のロープが引ける気がしない
「…となりゅと足台が必要でしゅね」
興奮で井戸しか見えてなかったけど、よくよく周りを見ると柵の側には小屋みたいなのもあるし…よく分からないでっかい箱というか……小さなプール?が4つ
暑い時期に水遊びした記憶はないけど…
…年齢がまだ小さいから使わなかっただけかな?
他にも足台になりそうな木箱とかが無造作に置かれてる
「…あれ使えそうでしゅ」
木箱ぐらいならこの5歳ボディでも動かせる
ということで一度家に戻って水を入れれそうな桶を取ってくる。その時についでに妹の様子も見たけど、おもちゃに夢中で僕が戻った事も気づかなかったみたいだし安心した。
木箱を拾って井戸の側に底を上にして設置する。
5歳ボディではこんな簡単な事でも重労働である。
「…よいしょ」
くっ…身長が欲しいと切実に思う
木箱に登るのにも一苦労だ
50cmは稼げたけど、それでも井戸の中心のロープまではギリギリだった
「…し、しかも重いぃぃぃぃぃ」
み、水ってこんな重かったっけ?
全体重かけてやっとゆっくり持ち上がる感じ
「ふんぬぅぅぅぅぅぅ」
これは筋力マシーンなの??
え?まってこれ汲んでも家まで持っていける気がしないんだけど??
チャプンチャプン
音が近づいてるから確実に上がってきてはいるんだけど…
チャプン、ピョン
うん、ピョンの瞬間にちょっと軽くなるんだよね
「あ、あともう少しで…しゅ…」
とりあえずテッペンまで引き上げて火かき棒で縁に寄せる算段だけど…
よしもうすぐ水の入った桶が見えそう…
ぴょーーーん
「………」
ぴょーーーーん
「………」
手の平サイズの水の塊が目の前を跳ねてる
「……ん?」
この世界の水って自立式だったっけ?
謎なものが…
リハビリ作品です
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