その頃グレンドリアの母は…
ナナがチュートリアル問題に頭を悩ませている頃、
グレンドリアでは…
「お待ちくださいフィース様!」
「もう一週間よっ!いつまで私を閉じ込めて置くつもりなのっ!」
現フィース・ヘイワーズこと元フィース・エレ・グレンドリア…ナナとラナの母親で、グレンドリアの元継承権第3位の姫君である。
魔拳士の彼女は、見た目は白百合のように清楚なのだが、ひとたび戦闘態勢に入ると相手の返り血によって真っ赤に染まる事から『苛烈なる赤百合』と呼ばれていた。
なぜ彼女がグレンドリアへ来ることになったのか…それはヴァルヴェナの森にある自分の家で暴れたおした聖獣をけしかけた長男を〆るためである。
そもそも民貴族分け隔てなく人気の高いフィースが気に入らなかった長兄カイルは、継承権を放棄したとはいえ即位に関してフィースが邪魔になると思い、平民聖女を上手く利用して聖獣をフィースの家と隣国にけしかけ、その罪を全てフィースに擦りつけようとしたのだ。
そんな兄はもちろん半殺しにして、牢屋へぶちこんだが…
聖女と継承権1位がやらかした事なんで、国がちょっとしたパニックに陥ってしまい、このままでは市民から暴動がおきかねないと市民に人気のフィースが色々動かねばならぬ事態となってしまった。
…いつまで経ってもフィースの仕事が終わらず、気がつけば一週間。
「ナナ…ラナ…」
いくら夫が家にいるとはいえ、自分は5歳と3歳の母親なのだ…子供達が母を呼んで泣いていたらと思うと胸が張り裂けそうになる……フィースの我慢も限界にきていた。
…そう、フィースは夫であるリクトが未だ聖獣の後始末をしているなどとは知らず(周りも知らせず)
まさかナナとラナが二人きりで家に残されているなど思いもしなかったのだ。
「ザークを呼んでちょうだい…」
ザイルーク・カイン・ディバルト。グレンドリア竜騎士団の団長であり、フィースの幼馴染である。
不本意ではあるが自分が戻れないならば、夫と子供を城に連れてくるしかない。
ザークはフィースより勅命を受け、ヴァルヴェナの森へフィースの家族を迎えにワイバーンの相棒とともに旅立つのであった。
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