旅立ち
次回からまた家に戻ります!
メリンダが号泣している…
ラナと僕の覚醒祝いで幸せな時間を過ごした後、そろそろロックスウェル家をお暇する旨を伝えたら、強くここにいればいいと、魔物の森に帰すのは心配だとメリンダが言い、
子供のように号泣している……今ここ……
「め、メリンダしゃん…」
「ここにいればいいじゃぁぁぁん」
いやいや…反応逆だろう……5歳児にどうしろと?
そっと横にいた執事長さんに「メリンダしゃんお酒入ってます?」と聞いてみたが、祝いにお酒は出てなかったらしく素面の対応らしい……
「さみしぃぃぃよぉぉぉぉ」
いや…まるで何年も過ごしたような対応だけど、一緒に居た時間なんて4日あるかないかだぞ?
「ナナ君ごめんね。私達エルフって子供が出来にくい種族だから、子供を守ろうという本能があるのよ」
カレニアがフォローを入れてくる。美人の困った顔というのもまた美人である。
「それにいくらナナ君が強いって言っても、やっぱり小さな子だけで魔物の森に帰すのに…不安があるのも事実なのよ」
確かにそれについては、心配されても仕方ないよなぁと思う。
…ただ、インフェルノドラゴンの卵、ご神木シスターズが何かしてないか、レン君の様子、亀達の世話、アンデットなディレクの事など……家に必ず戻らなくてはならないのだ。それに早めに首都の母の元に向かわなくてはならないし、聖女に対しての魔導具も作成したい。
やっぱり戻らないという選択肢はない。
「母しゃんの所に行くのに色々と準備がありゅので…」
「フィース様のところに行くの?」
「あぃ」
「そぅ、なら引き留めるわけにはいかないわね……メリンダ諦めなさい」
「うぅぅぅぅぅずびびぃぃぃ」
メリンダよ……泣いて顔面のあらゆるところから液体が出ているよ?
「首都に行った帰りにでも寄るでしゅ」
「約束よぉぉぉぉ」
執事長さんが「ラナ様とナナ様が使われたお部屋はそのままお二人の部屋としておきますので」とか怖い事を言ってるんですけど?
…それを誰も否定しないどころか、いい考えだと執事長を褒めるカレニアとメリンダ。
二人が部屋の拡張などを検討し始めたところで、ずっと黙っていたバーグロンゲが口を開いた
「ナナ……辺境のこの町でもこんな状況だ、首都はもっと危ないだろう。十分に気を付けていくんだぞ」
すごい……父親感。普段あんなに嫁に怯えてるとは思えない姿だ。
「あい…ありがとうごじゃいましゅ」
「あと困った事があったら、ここでも外周の店でもいいからすぐ来なさい。…ロックスウェル家を自分の家だと思ってな…」
町に来てよかったなと思う…
この日一緒にいた時間は短いかもしれないけど、ロックスウェル家のみんなが僕たち兄妹の第二の実家になったのだった。




