ラナの覚醒祝い
ごめんなさい…ロックスウェル家をなめてました…
一日やそこらで用意するお祝いなんてよくてケーキと食事ぐらいだろうと……このラナの服を一日で用意してもらえただけでかなりありがたく、大満足だったのに…
食堂についた僕らを迎えてくれたのはたくさんのおめでとうという言葉と、小さな花火のような祝魔術。
花火の音にラナが泣くかなと思ったけど杞憂で、目を輝かせて喜んでる。
「「ラナちゃん、覚醒おめでとう!」」
メリンダだけじゃなく、カレニアやバーグロンゲもいる。もちろん館の使用人達も勢ぞろいでいるらしい。
「みなしゃん…ありがとうごじゃいましゅ」
「あじゃましゅ!!」
抱きかかえていたラナを下し、頭を下げたら横でラナも僕の真似をする。
カレニアが入口に立つ僕らのそばに来て、膝をついて僕らに視線を合わせてくれる。
「ナナ君!頭なんて下げないで!覚醒のお祝いを出来るなんてこんな喜ばしい事めったにないんだから」
「そうだぜ!ナナ、覚醒の祝福をするとその家に豊穣が訪れるっていわれてんだよ!気にすんな!」
そっと横に来たメリンダがラナを抱え上げ、僕をそっと席まで誘導する。
「ラナちゃんとナナ君の好みがわからなかったから、とにかく……いっぱい用意したわ!」
目の前には子供が喜びそうなご飯が並んでいる。
懐かしい元の世界の料理もあって、テンションがあがる
「この料理って…」
どう見てもオムライスな見た目の料理がある。元の世界でも大好きだったオムライス。
近所の洋食屋さんに弟と二人で行き、1人前のオムライスを二人で分けるのが元の世界のお祝いだった。
「あぁそれはリクト様が考えられたオムライスって料理よ」
父よ……転生者を利用して食事無双までやってるのか……
「この赤いソースで卵に言葉が書けるのよ!楽しいでしょ!」
メリンダがキラキラした目で話してくれる事は……うん、全部知ってる。
相変わらずメリンダの父が手掛けた物に対してのリスペクトが凄すぎる。
席につくと目の前にあった何も配膳されてなかった皿が、10秒で色とりどりの食事が綺麗に盛り付けられたものへと変わる。盛り付けてくれた人を見ると身支度をしてくれたメイド達ではなく、白いコック服を着た男性だった。
「何か他に食べたい物はございますか?」
「あ、大丈夫でしゅ。自分で取れましゅ」
「いえ、頑張って勝ち取った配膳係ですので、ぜひ私めにやらせてください」
…いや、昨日の晩にどれぐらいの試合がおこなわれたんだよ?




