メリンダの反省会
コトリと置かれたグラスには琥珀色の液体が底に薄っすらと残っている。
横のボトルからグラスに継ぎ足そうとした手を横に立つ執事がそっと止めた。
「メリンダ様、明日もございますので…ほどほどに…」
執事が止める程飲んだろうかとボトルを確認すれば、半分以上減っている。
「はぁぁぁぁ」
かなり飲んでいるのに酔えてる気がしないのは、ここ3日で起こった事が激動すぎたからだろう。
謎の閃光から始まり…インフェルノドラゴン襲来、町の爆破未遂事件。人生で一度経験するか否かの事件が3つもしかも3日で起こるなんて…前代未聞……まぁ実際に起きたのだけど……
思えば事の始まりは5歳の男の子との出会いからで、魔導具師としてずっと憧れていたリクト様のお子様にリアルで出会えるなんて…ちょっと興奮しすぎて父さんからお叱りを受けたけど……
またこのお子様が超絶美少年で……しかもびっくり背中にもっと小さいお子様もいて……超絶可愛い女の子……もう誘拐してくれといってるような物でしょう!!なんなら私がつれさr……
…落ち着け私。
とにかくそのまま歩いてたら危険しか感じられないので、認識阻害のマントを迷惑をかけたプレゼントという名目で押し付けたんだけど…グッジョブ私。そもそも認識阻害のマント自体が大きく2種類あり、1つは冒険者が魔物に対して認識阻害をするアイテム、こちらはデザイン性など全くない実用性一択の物で色見も暗い物しかない。
もう一つは町の中で女性用のアイテムとして売られている物でこちらはデザイン性が高く、おしゃれな物が多い。女性特有の事件に遭遇しないよう、人に対しての認識阻害魔法が組み込まれている。こちらの商品は取り扱いが難しく、悪用を防ぐため個人登録はもちろんの事、使用に関して魔法陣にデータが残るようになっている。
ナナ君にあげたのはもちろん後者で、デザインも彼に似合う可愛い物を厳選し、鼻血が出そうなぐらい可愛かった。
「ナナ君は?」
「ラナ様とご一緒にお休みになられたと報告がありました」
「そう」
この町の危機を救ってくれた男の子。…姿形はありえないぐらい整った5歳児だけど、一度会話をすると子供なんてとんでもない…年上と話している錯覚に陥ってしまう不思議な子。
だけど……彼は5歳の子供なのだ…
あまりにぶっとんだ彼に、驚愕を通り越して……少し恐ろしさを感じてしまった私。
彼に対してそんな感情を抱いてしまう大人達を見て、冷めた表情をするナナ君。
心の中を見透かされてそうで…深く反省した。
…ちなみにナナの冷めた視線というのに対して、メリンダはナナが大人に対して期待をしてないというような受け取り方をしていますが、ナナ的には「まぁそうなるよね?」的な自分に対する自虐態度ですwww




