犯人捕縛
ラナがまだすぐには目覚めそうにないので、先に問題を解決しておこうと思う。
朱果にラナの事を頼んで部屋から出ると丁度部屋をノックしようとしていたメリンダに出会う
「ナナ君!ラナちゃんの様子はどうかしら?」
「覚醒は終わったみたいなんでしゅが…目覚めるまでにはもうちょっとかかるかもでしゅ」
「なら少しお祝いの打ち合わせしてもいいかしら?」
ラナのお祝いはもちろん何よりも大事なのだが…そのお祝いに一点の曇りもないように……先に処理しなくてはならない事がある。
「メリンダしゃん」と言って、メリンダに事情を話して地下室に案内した時、「こんな部屋あったかしら?」と呟いていたのは聞こえないフリをした。…まさか朱果が作ったわけじゃないよね?ただ使われてなかっただけだよね?
「…この子は」
地下室の扉を開けて、倉庫のような部屋の真ん中に意識なく倒れているメイド姿の女性。
「…教会からの紹介で1年前に雇ったメイドだわ」
1年前……その頃から今回の件が計画されていたのか……それとも計画関係なく潜入員という形でいろんなところにこのような人材が配置されているのか…
これは母さんのところに行った時には、周りの人間の素性調査をきっちりした方がよさそうだ。
「これは……他にもいるかもしれないって事よね?一度家の人間を調べてみないと…」
ただ……この家はすでに朱果の調査が一通りされていて……
【他に悪い奴いない】という太鼓判をもらってるので…
「…メリンダしゃん。朱果の能力なんでしゅが……悪人を見分ける力があるらしくて…」
うん、家が管理下になっているなんて事は決して言わない
「他にはいないそうでしゅ…」
「……朱果ちゃんのその能力、他でしゃべっちゃ駄目よ」
「…あい」
…だよねぇ。こんな便利な能力があれば一家に一台セコム級の存在だよ…
「…このメイドの処理はこちらに任せてもらえるのかしら?」
「?」
「見つけたのは朱果ちゃんだから…手柄とか…」
どうする?と朱果に確認したら【いらない】という返事が返ってきた。
「いらないでしゅ」
「わかったわ…じゃあこちらで対応させてもらう」
メリンダが手に持っていた魔法陣の書かれた紙を倒れたメイドの上に乗せる。
そして魔力をその魔法陣に込めた瞬間、魔法陣が縄の様な物に姿を変えメイドの体を拘束する。そして中心部にある魔石が赤く点滅した。
「なんか…光ってるでしゅ」
「これで近くの警邏に犯罪者がいると伝達が飛ぶのよ」
ほーそれは便利なアイテムだ。
「さて…じゃあ玄関に運びましょう」
と言いながらメイドを肩に担ぐメリンダ。
……怪力の正しい使い方である。




