朱果の進化がとまらない
ロックスウェル家に着いたところで、馬車を降りると一生慣れる事がない従業員の整列お迎えをされて僕はひたすら頭をペコペコ上げ下げしながら歩き、メリンダは普通に筆頭執事と会話しながら歩いていく。
「メリンダしゃん!先にいってるでしゅ!」
…決してお出迎えが苦痛だったわけじゃない……多分。
駆け出す先はもちろんラナがいる部屋である。
小さい体で階段を上るのは大変だろうと、1Fに部屋をあてがってくれた事に感謝しつつ、ロックスウェル家の中で一番小さい部屋に飛び込んでいく
「ラナ!朱果!!ただいまでしゅ!!」
出かける前は朱果に包まれていたラナが、今はベッドに横になっていて、朱果は枕の側に元のサイズに戻ってちょこんと存在していた。
【主!おかえり!】
「朱果!ラナはどう?」
【…覚醒が済んで、魔力も安定した。後は回復すれば目覚める】
出かける際のラナの様子は微動だにしない、息を確認しなければ寝てる状態というより仮死状態という感じだったのが、今はむにゃむにゃと寝言を言いながら体を大の字にして寝てる。
その様子にホッとしつつ、ベッド横に用意された椅子に腰かけた。
「朱果ありがとね」
朱果が爆弾の処理をしてくれてなかったら、さっき迎えてくれた従業員達の誰かがケガをしていたかもしれないし、もしかしたらラナだって傷ついていたかもしれない。
【大丈夫、もうロックスウェル家全体監視下、きちんと管理出来る】
…待って、他所のお家だからね?管理とかはいらないよ?
【まかせて!爆弾しかけた怪しいやつも捕まえといた】
えぇ?!犯人捕まえたりも出来ちゃうの??
【麻酔打ちこんで、地下室に捨ててる】
「そ、それってロックスウェル家の人には?」
【知らせてない。そのまま消す存在なかった事にする】
待て待てまてぇぇぇぇぇぇい!!!
恐ろしい事をさらっと言わないで!!
「存在消すってどうするつもりだったでしゅか!!」
【管理データを消して初めから存在しなかった事にする】
え?存在自体を消しちゃうって事?
「ダメダメダメ!!!メリンダさんに相談して引き渡すから!!存在消しちゃダメ!!!」
【わかった。地下室の扉見えるようにしとく】
え?管理精霊ってそんな事もできちゃうの?
管理という名のもとに何でもアリすぎじゃね?
【今は偽名を使ってるから、本名のデータも主に渡す】
これは朱果が優秀なのを褒めた方がいいのか、僕に扱えそうにないと神に丸投げした方がいいのか……
管理精霊という存在がさらにわからなくなった
朱果から脳内に転送されてきた犯人の個人情報は、まるで元の世界のパソコンで書いたようなわかりやすい書類になっていた。
…うちの精霊って恐ろしい




