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他愛ない日常を求めて

 ギルドの入り口から外に出ると、通りに人の波ができつつあった。

 ギルドマスターの部屋にいる間に避難解除の通達がされたらしく、避難所から徐々に人が戻っているのだろう。カレニアさんがロックスウェル家まで一緒に戻ろうと言ってくれたけど、丁重にお断りした。

 町に着いてすぐ色々とトラブル続きでまともに町というものを体感出来ていないので、ギルドからロックスウェル家まで歩いて帰る事で取り戻そうと思ったのだ。


 家に戻ればすぐに首都へと向かわなければいけないだろうし、ゆっくりする暇なんてないだろう。


「…なんてハードな5歳児のスケジュール」

「ん?なんか言った?」

「なんでもないでしゅ」


さすがに5歳児だけで家に帰すのは不安だそうで、メリンダが付き添ってくれている。町案内もしてくれるらしい。


「メリンダしゃんってここの生まれなんでしゅか?」


ロックスウェル家ほどデカい商会なら首都にも幅をきかせてそうだ。


「あー厳密に言うと生まれはエルフの里なのよねぇ。ほら母さんハイエルフじゃない?エルフの出産ってかなり魔力を消費するらしくて、実家に里帰りして生まれたらしいのよねぇ」


エルフの里!!なんてファンタジーな響きなんだ!!


「でも母さん仕事の鬼だから、生まれてすぐにここに戻ってきたらしいの。だから私はエルフの里とか覚えてないんだけどね」


仕事の鬼なハイエルフ……エルフって寿命が長いからのんびりしてるんじゃないのか?


「後は父さんとの時間って限られてるじゃない?1分1秒無駄にしたくないみたい」


なるほど…人間とハイエルフの悩みって事か…


「父さんストレス溜まるとすぐ旅に出ちゃうから、商会とか任せてストレス溜めさせたくなかったんじゃないかしら?」


バーグロンゲのストレス限界値行動が元の世界すぎる……


「家庭の事情でしゅね…」


それにしても折角の異世界なのだから、いつか旅してエルフの里にも行ってみたいものだ。


「エルフの里って…メリンダさんと一緒だったらいけるでしゅか?」

「私と一緒に?別にいいけど…道案内って事?覚えてないから詳しい案内とか出来ないよ?」

「僕一人じゃエルフさんが入れてくれないんじゃないでしゅか?」


…いやエルフの里って一見さんお断りなイメージじゃん?

仲間が居たら入れてくれる的なシステムがあるんじゃないの?


「普通に里は観光地化してるから誰でも入れるわよ?」


観光地化……「いらっしゃいませ!ようこそエルフの里へ」っていう横断幕が頭に思い浮かぶ……

一気に神秘的な場所から開けた温泉地に行く気分になった……


「さすがに世界樹があるエリアは立ち入れないけどね。私も一度行ってみたかったから行く時は誘ってくれたら嬉しいわ」


…よし、メリンダとのエルフの里ツアーが確約された!

出来る限り早く実現出来るように頑張ろう!!


その後も他愛ない会話を続けていたら、人が混雑してるエリアについた。


「ここは?」

「ここがヴァールの中心、商業エリアよ。露店から店舗までこのエリアに固まってるわ。気になる店とか露店があれば言ってちょうだい…とその前に」


メリンダが手を差し出してくる


「?」

「これからもっと人が多くなるからね。迷子にならないように手をつなぎましょう」


び、美女と手をつなぐ……ありがとうございます!!

5歳児でよかった!!

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