名無しの男
「それにしても…教会関係者が町の破壊行動をするなど……反乱だととられてもおかしくないぞ…」
相変わらず自己紹介をしてもらえない、名前を知らない男が頭を抱えてソファにうずくまる。
…今更誰ですか?とか聞けない雰囲気だ。
そもそも聖女においては反乱どころではない……奴は神にも喧嘩を売っている
「フィース様が首都に戻られてる事と今回の事で…セントヴィアージュ教会に何か起こってる事は間違いないわね…」
「なんだと?!フィース様が?聞いてないぞ!!」
「インフェルノドラゴンの件もあって、それどころじゃなかったのよ…」
若干カレニアさんが鬱陶しそうに見えるのは気のせいじゃないと思う。
それどころか名無し以外、みんながうんざりしてる…
どうやら名無しの男は…仕事が出来なさそうだ……
「あのぉ…その件も含めて…色々話したいことがあるでしゅ」
「あぁナナ君、疲れてたのにごめんなさい」
確かに早く家に帰りたい…が、色々報告せずに帰れない
他のメンバーもこちらに意識を向けてくれた。
「…そもそもこの生意気な子供はなんなんだ…」
空気を読めない名無し男…触手巻きにしちゃってもいいかな?
生意気な事なんて何にもしてないだろうが…至って普通にインフェルノドラゴンを処理して、アンデットの件も片付けて、町のテロ組織を捕まえた5歳だよっ!!
ーナナ様…『普通トハ』トイウチュートリアル作リマショウカ?ー
うっさいわ!!そんなのあっても絶対やらないからなっ!!
「ピョーラム様…お言葉を改めた方がよろしいかと…」
カレニアさんとメリンダさんが今にもヤッテしまいそうな怒りの形相になりつつあるので、
ギルドマスターのドルフがあわてて口を挟んできた。
彼の言葉で、名無し男はピョーラムだと判明。
なんか偉そうでいけ好かない奴だ……貴族っぽいなぁ
「はんっ!!こんな子供になぜ私が言葉を改めなくてはならんのだ!!」
「フィース様のお子様だからよっ!!」
頭の悪い奴って、なんでそれを言われてるのか考えないよね?
どうやっても君より立場が上なのがわかってるから忠告してくれてるのに…それを無駄にしてしまう。
ほらみろ……顔が蒼くなってる。
「ふぃ、ふぃ…フィース様の?」
…ピョーが震え出したけど?
母さんって……どんだけ人から怖がられてんの?
「あ、偉いのは両親で僕じゃありましぇんから、お気になさらず…」
ピョーはさっきまでのふてぶてしさはどこにいったのか、ソファの端で姿勢良く小さくなってる。
どこの世界にもこういうやつはいるんだな…
静かになったので結果オーライという事で、さて報告を始めよう




