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両親の安否

「ちゃららっちゃちゃ、ちゃららっちゃっちゃ♪」


食器を洗いながら口遊むのは前世の音楽なんだよなぁ、この世界の音楽って母さんの子守唄ぐらいしか聞いた事ないし…あの歌はやばかった…声だけで睡眠じゃなくて永眠させられる破壊力だったよ…


「父さん…母さん…どこいったんでしゅかね…」


この一週間…ラナと二人で生き残る事に必死で…考えないようにしてた事が、少し気持ちに余裕が出来たのかどんどん溢れてくる。

ぽたぽたと涙が食器に落ちてくけど…両手が泡だらけで拭う事もできない。


いつの間にか鼻歌が自分の嗚咽に代わってしまったけど…感情のコントロールが出来なくて…必死に肩の部分で涙を拭くけど止まらない。


両親が居なくなって一週間、今洗ってる食器が一週間前の夕食の食器…

自分が朝起きた時には二人とも居なかった事もあって最後の夕食の深夜に何かがあったとしか思えない。

置き手紙もなく…まぁあっても5歳児に宛てて書く手紙なんて…大した事は書けないだろうけど…


「……帰ってくりゅかな」

ー肯定。リクト様ノ無事ハ確認デキマスー

「わっ…わかりゅんでしゅか!?」

ー肯定。私ノ起動ハマスターデアルリクト様シカ出来ナイノデス。外部ヨリシステムガ書キ換エラレタ事デ、ナナ様ニコノ家ノ管理権ガ譲渡サレマシター

「じゃあ!連絡とれるんでしゅか!!」

ー否定。外部ヨリ回線ガ接続サレタノハ一瞬で、スグニ切レマシター

「…でも生きてりゅ」


柵の向こうがあんな状態だったし…最悪の場合も覚悟してた。

生きてくれてるだけで…いつか会える希望になる。


「…頑張って…待ちましゅ」


父さんと母さんが帰ってきた時に「お兄ちゃん頑張ったね」って言われるように、ラナの事は絶対守るんだ

そのために出来るようにならなきゃいけない事がたくさんあるけど……外見5歳でも中身は35歳+5歳なんだから全てを駆使して乗り切ってやる。

さっきから涙が止まんなくて…せっかく飲んだ回復薬が全部出ていきそうな勢いだけど…



今だけ…



この食器洗いが終わるまで許してほしい。これが終わったらもう泣かないから!!

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