帰ってきたー!!!
初めてヴァールの町にたどり着いた時は穀倉地帯が外周の外にあったが、反対側のこちらは穀倉地では無く主にスライムが働く産廃処理場が設置されていた。外周の雰囲気も反対側と違いさらにスラム的な感じが漂っている…が人が一人もいない。
「…人がいないね?」
こんなゴースト街になってる事ある?
ーナナ様、インフェルノドラゴンノ件デ町ハ厳戒態勢中デスヨ?ー
あ……すっかり忘れてた。
「早く戻ってみんなを安心させないと…」
…新しい問題を持って帰ってきてるけど、それはこの町の脅威というかこの国の脅威なんで…この町の人にはすぐに何らかの危機があるわけじゃないだろう。
…まぁ上層部はパニックになろだろうなぁ。
ー聖女ノ事ヲ知ラセルノハ、上層部ダケ二シマスカ?ー
「うん、変に広めてもパニックが起こるだけだしね…」
ードノ辺リマデ語ルツモリデスカ?ー
「そうだなぁ、聖女と神様の繋がりは知らせる必要ない。異世界の事も……」
聖女がヴィア女神を傷つけた罪人で…今世界中で起こっている事件の原因が彼女だと知れたら…世界中からグレンドリアが非難を受ける可能性がある。この事は母さんに相談してから対応しよう…
アンデットの件を絡めて、セントヴィアージュ教会を気を付けるようにだけ申告しよう…
考えがまとまったところで、町の外壁の門に着いた。
いつもは長蛇の列の門も完全に閉まっており、誰かが並ぶこともない。
「坊主!!!こんな時に外に出るなんて馬鹿かっ!!!」
慌てた様子で知った顔の門番が飛び出してきた。
…そういえば行きは門を通らなかったっけ?
「すぐにロックスウェル家に連絡してやるから、待合場所で待っとけ!」
「おじしゃん!!待ってくだしゃい!!僕はギルドに用事があるんでしゅ!!」
駆け出していきそうな門番に慌てて声をかけた
「…ギルドだと?」
「メリンダしゃんはそこにいると言ってまちた!」
「メリンダ様が?坊主…一人でギルドまで行けるのか?」
「大丈夫でしゅ!僕にはこれがあるでしゅ!」
スケーターをペしぺしと叩く。
「おもちゃか?」
…うん、見た目にはそう見えるだろう…
「おもちゃを改造した物でしゅ!僕の愛車!」
門番は怪訝な子でこちらを伺っていたが、実際にスケーターに乗ってみせると納得した。
「町の中とはいえ、厳戒態勢で今は町自体が混乱してる…気を付けていくんだぞ」
「あぃ!!」
やっと、町まで帰ってきたよ!!
ただいまヴァールの町!!




