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ひげじいさんの技術

…ディレクが挨拶もせずに影に飛び込んだのってこの状況を予知してじゃね?

などと中身が大人な自分は疑ってしまうのだが、居ないものはどうしようもない。

悩んでる間に、陣を書き終えたのか腰をトントンと叩きながらひげじいさんが起き上がった


まずい…


「おはよぅございまーす」


ひとまず挨拶。


「すごい魔法陣でしゅねぇ」


からの先手攻撃!


「おぉ小僧起きたか、これでも元司祭じゃからなアンデット契約の準備はばっちりじゃぞ」

「あーのぉ……ディレクさんが……起きたらいなくなってて…」


ひとまずここにいないディレクに責任を……


「なんじゃと?……それは、小僧を置いてどこかへ行ったという事か?もしかして……意識がアンデット化してしまったんじゃ…」


あっ…不味い方向に勘違いし始めた


「…昨日あれほどの熱意を持っておったのに……モンスター化してしもうたか……こんな事なら昨日のうちに輪廻に送っておくべきじゃった…」


あぁ…やばいやばい…

ひげじいさんの目が潤み始めた


「多分違うでしゅ!!昨日神様から神託があったんでしゅ!!!」


……神様と打ち合わせしていたのだから、嘘ではない


「……神託じゃと?」

「あぃ!!ディレクさんは聖騎士として立派に神へ奉仕を行い、その信仰心もゆるぎない。だけど聖女によって道半ばで命を絶たれてしまった。聖女が邪悪な存在と認められた今、聖女を止めるという使命を賜ったそうでしゅ。僕魔力が桁外れに多いらしくて…僕と契約する事でディレクさんの力になるようにと……神託を受けまっ!!」


自分で自分の詐欺師的才能が怖い。

さすがにこの文章を一気に言ったら、5歳児の舌じゃつりそうになって最後噛んだ……


「……それは女神の声じゃったか?」

「ううん、おじいちゃんの声だったでしゅ」

「そうか……ならばドゥルガスト様じゃな……、やはりヴィア様に何かあったのか…あの聖女が現れて以来一度もヴィア様からの神託がない……こんな事は今までになかったんじゃ……神殿では、聖女が女神の化身だという者もおったが……わしはどうしてもあの聖女の魂が汚れているようにしかみえんかったんじゃ」


ひげじいさん大正解!


「ヴィア様の加護を受けたディレクがドゥルガスト様から使命を賜る……これが何を意味しているのか…小僧…巻き込んでしまってすまん」


どちらかというと…僕が巻き込んでしまってる方なんで申し訳ないが、口には出さずニコニコしておく。…子供の笑顔は最強のアイテムなのだ。


「大丈夫でしゅよ!僕ちゅよいんで!!」


……かっこいいところで噛んでしまうこの舌がにくい。


「そうかそうか」


ひげじいさんが大きな手で僕の頭をガシガシと撫でてくる

こんなデカい手であの繊細な魔法陣が描ける不思議


「契約の魔法陣無駄にしちゃって…ごめんしゃい」

「気にするな。これぐらいの魔法陣、大したことないわい」

「でも…」

「教会におる頃は何千回と描いてきた図案じゃ、目をつぶっても描けるわい」


いやいや…魔導具作りで経験したあの地獄の魔法陣描き……目も手も限界を……

このひげじいさん魔導眼鏡も手袋もしてない…部屋の床に描いているので大きさはそれなりにあるが、描く図面が細かいのにあの手と裸眼で狂いなく…恐ろしい専門技術。


「じゃが……そのまま消し去るのももったいないのぉ…」


ひげじいさんは何かを思いついたのか、一度部屋を出ていき、戻った時には手に一枚紙を持っていた。

持っていた紙をひげじいさんが何か魔法を唱えながら魔法陣の中心部に投げる。

すると床に描かれていた魔法陣が紙に吸い込まれていった


「しゅごい……」


一連の流れを見るだけで、このひげじいさんがかなりの神聖魔法の実力者だとわかる


「小僧、これを持っていくがいい。他にアンデットと契約する事があればこれを使え」


ひげじいさんの手から渡された1枚の紙にはびっちりと描かれた魔法陣。

いやいや…あんたの息子以外アンデットと契約する事なんてないから!!


「金に困った時には魔導具を売ってる所ならば買い取ってくれる」


おぉ!

まさかの金策アイテムゲッツ!!

メリンダさんに買い取ってもらおう


またメリンダさんのお小言アイテムをゲットしたとは……知る由もない

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