アンデットってやつは…
あぁ…そういえばアンデット達は村のはずれにいるんだっけ…
なら必然的に村に入る前よりもアンデットに出会うのが先なわけで……
「…何あれ」
デカい火柱の周りをアンデットが踊り回ってる。
骸骨がキャンプファイヤーみたいな火柱の周りを踊る…どう見ても怪しい儀式だ。
ーアンデット達デスネー
うん…それぐらいは見りゃわかるよ?全く恐怖心は湧いてこないけどね…
とりあえずこちらに対して何か攻撃的なモーションをしてくるか気配を消さずに様子を見てみる。
一曲終わったみたいだ…
今のところこちらに対して何かを仕掛けてくる気配はない…
「アンデット同士が手をとりあって…フォークダンス……」
見たくない…見たくないぞ…
…今すぐ魔法をぶっぱなしたい気持ちを必死に抑える
アンデット集団に攻撃を仕掛けたらこちらが悪者のように感じるとか…倫理感が崩壊する
そんな気持ちの葛藤をしてる間に2曲目が終わったようで…アンデットが額の汗を拭う仕草をしたのを見て心の中で「汗でねぇだろうが!!」と突っ込む。
…うん、これは村の人たち怖かっただろうね…
「…リフィ、どうする?」
ーソウデスネェ…ナニヤッテルンデショウカ?ー
それがわかれば苦労しない。
ー話ヲ出来マスカネ?-
「え?誰が?」
ーナナ様デスー
「誰と?」
ーアンデット達トー
ですよねぇ、村人なわけないですよねぇ…
「…アンデットってしゃべれるんでしゅか?」
ーワカラナイノデ、話カケテミルノモイイカト…ー
それであの数のアンデットに一斉に襲われたらどうすんの?
けっこういるよ?ざっと見えるだけで10体以上…
ーナナ様ナラ余裕デスー
そんな余裕いらないし、アンデットと戦うとかゴリゴリ何か精神的な物が削られる…
リフィとそんなやり取りをしてたら、結構アンデットから距離はあったけど気配を消しては居なかったのでどうやら一部のアンデットにこちらを気付かれたらしい…
襲い掛かってくるかと一応魔法詠唱の準備をする
4体のアンデットが集まり、こちらに向かって指?骨をさしている
それをみた他のアンデット達も演奏や踊りをやめ、こちらの方角に皆集まってくる…
…緊張感が高まる
さすがに30体のアンデットに一気に襲われたら……まぁ浄化魔法か火系の魔法ブッパすれば何とかなるだろう…リフィの言うことは間違ってない…うん多分余裕。
にらみ合っていると…一体のアンデットが両手を上げて、顎をカタカタと鳴らしながら…こちらに少しずつ近づいてくる…
「…近づいてくるんでしゅけど」
ー敵意ハ感ジラレマセンー
見た目は敵意しかないけどね…
5メートルほどの距離まで近づいたところで、ひと際大きく顎をカタカタと鳴らし、上げた両手でばってんを作り…突然正座のような体制になって頭蓋骨を地面につけた……いわゆる土下座スタイル
「……これはどういう状況?」
ー敵意ハナイデスー
うん、見ればわかる。
傍から見たら5歳児に土下座するアンデット……完全に魔王ポジじゃん!!!




