キラキラ光る世界の音楽
インフェルノドラゴンの危機が訪れていたとは思えないのどかな景色が続き…名前も知らない光る虫達が暗くなりはじめた草むらを飛び始め幻想的な世界を作り出してる。
…なんなら不気味な村なんか行かないでここで野宿でいいんじゃね?
一晩中この景色をずっと眺めて過ごすとか、元の世界では考えられない贅沢な時間でしかない。
いっその事、このスケーター壊してやろうか…
ドンドコドンドコ…ドコドコ…ドンドン♫
「…何だ?…この音」
いや…不協和音…せっかく大自然によって清められた視界が耳障りな音楽で……
「………」
ドドダン!!ドドダン!!
いやいや…盛り上がりとかいらないから…
ズンズンズンズン……
一端…スローとかもいらない…
ダダダダダダダダダッッッ…………ダンッ!!!!
ブラボー!!!じゃねぇよっっ!!!
どう考えても迷惑アンデットソングじゃないか…
ーア、村ノ近クマデ来タヨウデスネー
でしょうね!!思いっきり何かが存在感を主張してくれてましたもんね…
「…こんな素晴らしい自然に対してこの爆音だけの音楽とも呼べない……まさに音害…」
ーマァ…少ナクトモコノアンデット二音楽ノ才能ハ無サソウデスネー
「…なんで、音楽の才能もないのにアンデットになってまで音楽してるんでしゅかねぇ…」
ーサァ…ソノ辺ハ調ベテミナイトワカリマセンネー
「…この世の未練が音楽とかだったら……ずっと成仏できないでしゅよ……」
…この音楽じゃ百年経っても未練タラタラだろうよ…
「あ…」
まだ村の姿が見えて無いのに大きな火柱が見えてきた…あれが村かな?
ーソノヨウデスネー
火はアンデット系の生き物が嫌うとされてるし…火柱はアンデット対策かな?
ー…ソレハドウデショウ?-
…ん?なんだかリフィの歯切れが悪い
ー行ッテミレバワカリマスー
「はぁ…」
やっぱり…この大自然で野宿は無理かぁ…
わざわざ公害まき散らすアンデットに会いに行くとか……
…この世界に厄年とかあるんですかね?
すでに5歳にして厄とか……この先の人生不安しかないんだけど?
…村へ向かうスケーターのスピードはもちろん亀のごとく遅く…
…あ、この世界の亀はちょっぱやな速度で空飛んでるんだった
ーアキラメマショウネー
「いやだぁぁぁぁぁ行きたくないぃぃぃぃ」
すっかり落ちた夜の帳に…爆音で奏でられる音楽と…僕の叫びと…キラキラ光る虫たちが不協和音を奏でるのだった……




